三笠書房様『ほめる力』(仮題)
新刊タイトル『ほめる人ほど、なぜ出世が早い?』
出版企画「構成案+取材質問項目」に弁証法が適用できる
三笠書房 清水篤史編集長様の出版企画(仮題)「構成案+取材質問項目」は佐藤の弁証法で説明できる。出版社でつくられる出版企画(仮題)「構成案+質問項目」は「正」「反」「合」の弁証法の理論的な側面である。本づくりの思いをここに集中する。書籍はどのようなソースでつくられていくか、まず普通は活字データが前提となる。
新聞、雑誌、インターネットなどのデータがソースとなる。どこからヒントを得るか? 編集者の力量だ。これらをどのような本にするかが編集者の思いだ。現実のデータはすべて現実的、歴史的側面である。人脈を通した談話などからも本づくりのデータとなる。
これをどのような本づくりとするか。それは出版社の編集者の思いである。
本づくりのきっかけは「ものづくり」と同じだ。
理論的側面は出版社の編集者の思いである。本づくりで構成案がはじめに出てくるのは正しいとはいえない。「どんな本や記事にしたいか」がテーマ先行だ。
これでは著者任せにならざるをえない。創作出版が誕生した以前の状況だといっていい。編集者の思いが記事や本づくりに反映していない。記事や本づくりに魅力がもてない。こうした創作出版出現の思いだったと思う。
佐藤は「本が売れない」理由だと思う。
2001年発行の小林一博著『出版大崩壊』(イーストプレス刊)の書籍から学ぶ。
「今まではこうだったよ」「現実はこうなっているよ」、そこから脱出していくには反省が必要である。書籍はエキサイティングだ。といえるような本づくりであってほしいと思う。
読者の関心に近寄る。読者のための本づくりに徹する。これが出版の大衆化ではなかったのか? 難しい表現は「やさしく丁寧に編集者が著者に伺う。著者も気づかなかったことばの言い回しがあったり、丁寧な本づくりに徹する。著者が怒り出すかもしれない」。
しかし、結果良ければ著者も喜ぶ。著者は新領域に入ったと喜ぶだろう。
著者、編集者、ライターさんの文殊の知恵を超えて、編集者同士の文殊の知恵も喜ぶだろう。しかし、編集会議などグループ討議が不活発で個人の範囲では解決は難しいだろう。コミュニケーション不足がある。個人プレイが多い、etc.ごま書房晩期で経験したが、書籍の構成案を章分けして各章にライターを立てた。本文中、表記の統一がライターによって統一されていない。人名についても外国人の名前で「−」(音引き)なのか、コンピュータというように音引きがないのかどうか、表記の統一ができていなかった。多くの校正者は創作出版について知らない。編集者の大まかな校正箇所の指定もない。表現の統一、文字校正が正しく行われていないと誤植だらけの書籍になる。
品位もない。出版社らしくない。
ぼくたちは創作出版でこういう経験をした。コスト上か、こうしたことが起こりやすい。「校正、されど校正」といわれるが、書籍づくりを最後までしっかりと行わなければ読者の信頼を勝ち取れない。ずっこけ書籍だ。創作出版で注意すべきことは書籍の校正なのである。
校正の講習会へ参加しても、創作出版から生まれる書籍の校正について専門家先生は一般的に校正の視点を落としている。電子書籍の校正は既刊本の校正である。ここでも同じことが起きている。コストで考えることではなく、「かかる費用」はかかるものだ。各章別々のライターが執筆した。「校正をどうするか?」課題もある。
以上が「正」「反」「合」の弁証法、理論的側面である。
「こうしたほうが望ましいよ」「こうしたほうがよりニーズに合っているよ」。
いま出版界に必要なのは希望だといった。それは創作出版が当面担っていくだろう。大きな枠組みを言っているので、編集者が謙虚になっていく時だ。
ここに三笠書房 清水編集長様の出版企画『ほめる力』(仮題)「構成案+取材質問項目」を公表できることを喜びとするもので、あらためて書籍づくりに時間をかけている三笠書房様出版企画の取材質問項目の現下の意味を問うものであります。と同時に、書籍づくりと音声ファイルを「見える化」して公表するものです。問題意識は16年前に持ちましたが、いろいろハードルがあって実現できませんでした。これをホームページ、会社概要 経営理念2014年版にも掲載します。書籍はどのようにつくられていくか、取材音声ファイルを「見える化」するものです。
(2015年10月発刊予定です、書籍のタイトルが変わりました)
新刊『ほめる人ほど、なぜ出世が早い?』(三笠書房)
松本秀男著 日本ほめる達人協会認定講師
取材を開始するにあたって「構成案+取材質問項目」をつくるが、書籍を執筆するにあたって構成案(目次)が必要である。
構成案は取材の途中でも著者インタビュー(取材)で書籍の全体を修正俯瞰する。ラフでもいいので、取材途中で構成案を常に振り返り、著者の談話から出てくる新しい質問項目も取材質問項目に追記する。
これは新刊の執筆にあたりライターさんにも伝えるといい。
編集者の編集方針をもれなく伝えることがライターさんの執筆にあたって編集者の執筆方針になる。「任せて任さず」だ。
著者取材は前回のインタビューをトランスクリプションで振り返り、質問項目をもれなく追記しつつ次回の質問項目に活かしていきたい。
構成案も振り返りライターさんとの共同作業も必要である。
インタビューが回をかさねるたびに著者からふと出てくる気づきを編集者の質問で「この例えばの例をいくつか出してもらえませんか?」と事例を出してもらう。ハウツウ本の要だ。この編集者の気づきは小見出しの参考にもなるだろう。
取材の回数のなかでの編集者の気づきは取材のその場で聞き直し、丁寧でやさしく言い回しにも気をつけたい。書籍づくりのヒントを著者はたくさんもっている。構成案と取材質問項目の追記修正に心がける。
今、ホームページ、事業領域 トランスクライビィングの掲載のあとのテーマについて頭の中では作業に入ってきました。
それは三笠書房『ほめる力』(仮題)の出版企画「構成案+取材質問項目」に弁証法が適用できると考えております。現下の適用の課題もあります。今朝はその文書の貼り付けを行います。全体を俯瞰したいのです。そして、『ほめる力』(仮題)出版企画「構成案+取材質問項目」がトランスクライビィングの内容になることを証明します。「構成案+取材質問項目」をつくって取材の「見える化」をしようというのがホームページのテーマです。トランスクライバーのキャスティングにも適用できます。
市井(しせい)のおばちゃんから学ぶ弁証法
バスに乗っていると、次のバス停で、二人のおばちゃんが乗ってきて後ろの座席に座った。
おばちゃんは家族や知人のことについて話し始めた。友人に「先日、こんな事があった」、とその時の状況、情景が詳しく順序をおって話されている。ある人の会話と行動である。
そして、「あんた、どう思う?」、「私はこう思う」と話は続いている。
おばちゃんが求めているのは、会話や行動についての「常識」の価値観だ。
おばちゃんにとっては「常識」的に生きたいし、常識が生き方の価値観で社会技術に含まれる「知識」(マナーやルール)といえる。
常識から外れることを恐れる。唯一の自分の生き方だ。そして、常識的に生きていきたい。
また、中高年になって家族と社会で「おばあちゃん」とよばれることへの抵抗について語り合っている。バスの空席をめぐって「おばあちゃん、ここが空いているよ」と言われたり、また市井の場で「おばあちゃん」とよばれることへのわたしの「良識」についてあなたはどう思うか? 孫の母親に「おじいちゃん」とよばれて抵抗なしに受け入れる企業社会を卒業した中高年男性の意識は家族社会的であるか? けっこうおもしろい市井の話題なのである。
たったそれが生き方の「理論」と言っていい。
しかし、ここに弁証法的思考がある。
今の若者にこのような思考態度があるのか、どうか?
インターネットからの情報(インテリジェンス)が話題になって弁証法的思考が行われている。それは時代の意識として集積する。
まず現実的・歴史的側面を説明する。
次におばちゃんにとっては「常識」が理論である。マナーもおばちゃんにとっては価値観といえる。自分の生き方は家族の「殻」から出られない。
まさしくおばちゃんにとっては常識をもって測定する。それは一応、理論的側面といえる。
そして、こうした事実に対し、おばちゃんは実践的な生き方をしている。
おばちゃんの思考はその精神のあり方において正しい思考をしている。 こうして知識や専門知識を必要としない生き方を守ってきた。
「常識」と弁証法の距離は慣習的な日常性の生活意識と知識やその専門性の科学性に基づいた「間」の距離である。この距離は日常性を越えた自分の信じ込んだ思いという意識で、知識の性向を持つ。
老人ホームの社会では、家族から自立して高齢者はまた違う生き方をしている。家族関係のドラマの局面を演じている。
それなりに豊かな社会で自分は納得して生きている。
こうしたおばちゃんの常識から外れた政治家の失言(身体検査も含めて)には手厳しい。
一般に選挙で当確を獲得するのもおばちゃんの測定にかなっていなければならない。 「コンプライアンス」はこうした人々によって守られてきた。
人と人のコミュニケーションで大切なことは、現実的・歴史的側面である「経過」を詳細に伝えることだ。ビジネスマンの報・連・相はおばちゃんから学べ。
弁証法における現実的・歴史的側面は、こうした経過の説明がいかに大切であるかを知らねばならない。そして、それがどのように鏡映していくか、そこに人生がもっともっと豊かになって、子どもたちに伝えていくことができるか。
(「2008年SOHO知識労働者の歴史的現在」から抜粋)
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『ほめるのが上手な人は いつもうまくいく(仮)』出版企画「構成案+取材質問項目」は著者先生にインタビューする内容項目である。著者内面をビュー(談話筆記)する。
本局ではトランスクリプションを集めているが、本来は三笠書房様出版企画の(仮題)「構成案+取材質問項目」があってトランスクライバーの練習にも入れる。しかし、他のクライアントはなかなか送ってくれない。どんな質問をしているかが分かって、みなさんトランスクライバーも仕事に入りやすいだろう。三笠書房はいろいろ気を使ってくれる。
これが創作出版の神髄なのである。
みなさんの練習で仕上げたり、本番でもトランスクリプションをつくっているが、なかなか100点満点は取れない。仮納品するまで、うしろ髪を引かれる思いだ。
でも「踏ん切り」も大切である。このみなさんのつくった本番のトランスクリプションを(正)とすれば、たとえばチェックをされたトランスクリプションを(反)とし、(正)に対し(反)は理論的な側面である。
(正)現実的・歴史的側面は「現実はこうなっていますよ」、そこに教育担当者の自分の考え(反)「こうしたほうが望ましいよ」理論的側面を入れながらチェックしていく。それは原稿づくりも含めて、「こうしたほうがいいよ」と修正、推敲する。そして、チェックを受けて赤字を直して(合)「こうなりました」と実践的側面とする。
現実はこうなっていますよ、は(正)現実的、歴史的側面でもある。
これらは推敲前の原稿である。全体が終了して自分の考えに基づく原稿として修正していく。
こうした(正)現実的・歴史的側面、(反)理論的側面、(合)実践的側面の3つの段階を弁証法とよぶ。この弁証法は真正弁証法で、へーゲルが18世紀に完成した。日本においても明治時代市井のおばちゃんたちはこうした思考方法をもっていた。今でも少数派だが歳をとった女子にこうした弁証法を使って日常会話の対話をしている。正しい正統な弁証法なのである。
自分で現実の事実を相手に説明する。現実にはいろいろな行為の様態があるだろう。 これらは正しい思考方法なので、みなさんもいろいろな場面で使ってほしい。
自分で現実の真実を相手に説明する。そうして「あなた、どう思う」「わたしはこう思う」と理論的側面を入れながら話し続ける。ここにはみなさんの主観といえるものが学習によって客観化された考えなのである。
そして最後に「こうしたほうが望ましく、こうなりました」と説明が欲しい。
日常会話のシーンで二人で話し合うときに、高校生の女子レベルで意見を交換し、互いに学び合い、自分の考え方をもつようになる。しかし、こうしたことが昔の女学校では行われていたが、今のAKB症候群では難しいことだと思う。
いろいろな高校生もいる。しかし、考え方が正しくないとやはりそれは大人になってからでも引きずっていき、大きな事故につながる。
佐藤が創作出版に関心をもったのは1998年である。この時の不況もそうだが、佐藤のこころの中で原点に帰るべきであると思った。
当時も創作出版に明るくない編集者と創作出版に明るい出版社の編集者がいた。
光文社で発祥し、神吉晴夫(かんき はるお)氏は「著者の原稿を一字一句そのまま出版することが当たり前だった時代において、著者と出版社との共同作業による本作りを実行し、戦後最大の出版プロデューサーと呼ばれた。光文社常務だった1954年(昭和29年)、伊藤整『文学入門』と中村武志『サラリーマン目白三平』を皮切りとして、軽装新書版による書き下ろしの「カッパ・ブックス」シリーズを創始」したといわれている。「初代社長茂木茂(もてぎ しげる)の死後、光文社第2代社長に就任。『女性自身』の部数を147万部にまで伸ばし、1960年代後半には光文社から女性自身社を独立させる構想も持ち上がったが、実現できぬまま70年安保闘争の影響で労働組合からの批判が噴出し、役員たちと共に社長を辞任。この後かんき出版を創業したが、まもなく死去した」(インターネットから)
この書籍のつくり方を創作出版という。
弁証法の神髄は「正」「反」「合」の弁証法である。
当時、光文社に在籍していた故篠原 直氏と福島茂喜氏は「ごま書房」を創設、出版界で注目された。
1998年頃、メディアミックス&ソフトノミックス/はごま書房の篠原 直氏の指導でライターの養成に入った。1998年(平成10年)新人スタッフを採用、勉強会を行った。当時の青鉛筆と赤鉛筆を使ってご指導してくれた。勉強会の報告リポートをもらっていたが、研修の細部にいたるご指導をいただき、ただ書籍の作家は自分で執筆して書籍にすると考えていた。
こころを開いた研修ではなく、閉ざしたこころのまま研修に対応していた。
「こうして書籍がつくられるのか」疑問をもちつつ研修していた。
現在でも編集者のこころのあり方、心構えに変化があるとはいえない。当時、録音といえばカセットテープレコーダーがオープンリールから技術進歩していく途中であったが、「取材質問項目」をつくって本づくりに入る取材の手続きがおこなわれているか、というと、「頭の中に入っている」として省略、プロセスカットしていると思う。著者との共同作業は当然この書籍に携わる全スタッフが共有すべき事項であるが、「これやれや」という姿勢も見え隠れしている。そして、原稿が編集者の思い通りに仕上がっていないことに不満が出て、逆評価される場合もあった。
手続きをとらない編集者の頭の中には「どんな発想でどんなことばが飛び出すか」「あいづちを打って、著者の談話に調子をつける」ことまで現在でも変わっていない。作業が次工程で断絶し、「取材質問項目」に沿った取材録音であるなら、トランスクライバーも調子に疑問もなくトランスクライビィングができる。
トランスクリプションは取材の宝なのである。どんな談話をされたか、一字一句記録されていく。トランスクライバーの私情を入れてトランスクリプションを勝手に書き直す不心得者もいるかもしれない。
音源と活字の間にはアイデンティファイ(自己同一性:自己同等性)がある。
おそらくインターネットが登場して同一作業者によって公開されるこの「取材質問項目」に編集者は関心をもたれると思う。
実際、出版社で社員編集者の研修がおこなわれているかというと、出版社によっていろいろな育成の方法があって、純粋な創作出版の本流が教育されていないと思う。書籍が売れない、という原因はどこから来ているのか、著者のインタビューにあたって準備すべき取材質問項目について編集会議もおこなわれていないのではないかと感じる。本づくりは書籍づくりにあたりこの創作出版が部内においても共同作業で、こうしたことは編集者の社内育成にとって重要である。出版の大衆化が創作出版の目的であるが、読みやすく、わかりやすい書籍づくりのためにこうした手続き一般が編集者が異動で入れ替わり社内において確立されなくなってきた。
編集会議で個人プレーをなくし、部全体の共同作業で本づくりがおこなわれていくことを望む。
メディアミックス&ソフトノミックス/はこの件に関して部外者である。しかし、共同作業の一員だ。
予定されている三笠書房(編集長 清水篤史氏)様の出版企画(仮題)「構成案+取材質問項目」は出版社らしい思いを取材質問項目に反映させて、書籍シリーズの思想に合った本づくりで出版界が百花繚乱のおもむきを呈するだろう。この著者の思いを掘り下げ、著者の気づきを刺激し、編集者との共同作業で書籍は仕上がっていく。著者もまた優秀な編集者に出会った、といって執筆にあたった思いを新らたにするだろう。
現在、この三笠書房様出版企画(仮題)の「構成案+取材質問項目」は最終の取材に入っています。
店頭に出るようになるとこの出版企画(仮題)「構成案+取材質問項目」を公開したいと考えております。三笠書房の編集長 清水篤史氏のご了承を得ております。
清水篤史氏は第一期ごま書房の社員でした。篠原 直氏の愛弟子です。
小林一博著『出版大崩壊』2001年4月30日 株式会社イーストプレス刊
■神吉流の?T創作出版?U路線をとる■
篠原氏の話がつづく。
「大宅壮一さんが『ソニー・モルモット説』なるものを唱えたことがありました。ソニーはどんなに真似されてもモルモットでありつづけなければダメだ、ソニーではなくなる、というもので、モルモットは最高の誉め言葉になっていた。ごまも、おこがましくも出版界のソニー、出版界のモルモットたることをめざした。判型や思い切った定価もその一つでした。企画は最初から三年分くらいはあった。もちろん、僕らは、神吉さんがカッパで主張し、実践していた『創作出版』路線をとってきました」
光文社でベストセラーをぞくぞくと生み出した前述の神吉氏が唱えた「創作出版」とは、編集者はプロデューサーでなければならない、という発想に立ち、編集者が企画し、それにふさわしい著者を見つけ、そして著者と苦労を共にして原稿を完成させる。このようにして読者にわかりやすい本をつくり、宣伝によってその潜在的な読書人口を掘り起こし、拡大していく、というものだった。
その後、多くの出版社でも採用されている手法だが、神吉氏が唱えたときには、まさに画期的な編集方法といえた。それまでの編集者は、作家や著者に原稿を依頼し、あとは原稿の受け渡しなどの使い走りをするだけのような存在だったからだ。企画段階から本の内容に踏みこむことはなく、何をどう書くか、どんなタイトルにするかは、作家、学者などの著者次第だった。
神吉氏がそれを一変させた。その発想は、どのようにして生まれたのか――。新興の光文社に移った神吉氏の悩みは、作家や学者が大講談社にいたときと違って会ってさえくれないことだった。会うことができても、神吉氏の「文化を大衆のものに」という方針に沿うような、わかりやすい内容、読みやすい表現の原稿を頼むと、相手にしないばかりか、注文を聞いて怒り出す学者もいたという。
そういうときにお茶の水女子大学教授の心理学者波多野完治氏(のち学長)から、夫人の児童心理学者の勤子さん(元お茶の水女子大学教授)と長男の往復書簡を見せられる。神吉氏は、それを『少年期――母と子の四年間の記録』としてまとめて出版する。著者と編集者との共同作業によって生まれたこの本が最初のベストセラーになったのだ。著者とのやりとりのなかから神吉氏が付けた『少年期』のタイトルは、さまざまな「○○期」としても使われる流行語になった。タイトルも、はやったのである。
神吉氏の「編集者イコールプロデューサー」という「創作出版」の発想と手法は、この『少年期』の編集出版とその成功によって生まれ、原型がつくられたとされる。そして「文化を大衆のものに」の方針を貫くために、「編集者がわからない原稿は、わかるまで何度でも書き直してもらえ」と指示したという。著者、学者にそこまで要求するのは、それまではちょっと考えられないことだった。そのため難解な用語と晦渋な文章で通してきた大家といわれるような学者などには嫌われ、それが光文社のベストセラー路線が攻撃される一因にもなった。しかし神吉氏は「無名の私は、無名の学者を育てて、有名にしてみせよう。そして私も明日は有名になるんだ――と考えついた」と書き、それを実践しつづけた。ごま書房の篠原氏は、その点では少し違っていたようだ。
「神吉さんの『創作出版』には賛成でしたが、編集者はスターであるべきだという『編集者スター論』には僕はもとから反対でしたね。僕は、編集者は黒子に徹するべきだという考えです。ごまでも、それで通してきたつもりです。もっとも僕は、ごまではいきなり社長になってしまったので、ついに一度も編集長にはなれなかった。それで編集長になりたいというのが僕の望みで、そんなことを口にするものだから『お前は経営者じゃない』などといわれてきた。実際、編集者であっても経営者ではないという甘さを指摘されれば、それは認めざるを得ないでしょうね。そこにもごまが破綻した原因があるといわれれば、そのとおりかもしれない。僕と福島は、企画から原稿づくりまで、ひたすら編集者として『創作出版』路線を突っ走ってきたという感じがありますから」
朝日新聞 2014年(平成26年)7月11日
「ひと言」で心つながる
日本人初の作業療法士 長谷川峰子さん
「日本人初のOT(作業療法士)が県内にいる。長谷川峰子さん(85)=横浜市鶴見区。約60年前、米国で学んだ作業療法を国内各地で広めた。6月にアジアで初めて開かれた第16回世界作業療法士連盟大会(横浜市)にも招かれて参加した長谷川さんは「心を病む人が増え続ける今、OTの役割は大きい。活躍し社会を元気にしてほしい」と後進にエールを送る。
長谷川さんが作業療法と出会ったのは、札幌の米軍病院で通訳兼助手として働き始めた18歳の時。日本にはまだ資格制度がなかったが「米国では約10年前(1935年)から養成校もでき、OTは各地の病院で欠かせない存在でした」。
自身も22歳で米国へ留学。アイオワ州立精神病院でインターンとして勤めた。関わった患者は統合失調症、アルコール依存症の人など約60人。眼光鋭い大柄な男性患者が現れた時などは「怖くない?」と周囲からよく心配されたが「なんとか社会復帰してほしいと心から願って相手と対話を重ね、ひとたび心のつながりができれば何も怖くない。様々な国や民族の患者と接する中で実感したことは今も私の信条です」。
絵画や手工芸などを通じて心身を回復させ、社会復帰へ導く作業療法を。長谷川さんは帰国後、各地で実践。県内では県立芹香(きんこう)院(現精神医療センター)、県立せりがや園、大和病院に勤めた。国内外での体験をつづった自著「精神医学的作業療法の実際」(1969年)は2年前に復刻版が出版され、現在も多くの関係者に読まれている。
今、認知症患者が国内に約800万人(予備軍含む)といったニュースに接するたび「こうなる前に打つ手はあったはずなのに」とやり切れない思いになるという長谷川さん。「認知機能は、刺激がないまま日々を送ると衰えていく。例えば食事を提供したあとに『これお好きですか?』とひと声かけるだけで相手の心は刺激され、心のつながりも生まれる。リハビリ専門職に限らず、介護に携わる人すべてに知ってほしいですね」(杉山圭子)
この女史が出版された『精神医学的作業療法の実際』は8日町田の書店 久美堂で探してもらった。18日までには到着する。
腰から下が理学療法士、腰から上が作業療法士の仕事だ。上記の書籍は精神医学の中枢を担うものだ。初任給30万円と聞く。
でも、公務員を採用している精神医療センターが中心になる。
医師は一般に患者の観察や診察という発症の状態を患者に聞いて診察してから診断に入る。診断は医学的な理論が中心になる。薬剤が投薬される。
40年前東大病院の精神科へ伺ったことがあったが、当時「デ ホスピタル」でたびたびグループ討議が行われていた。患者の中にはクスリのせいか眠気が来て横になって寝入る患者もいた。作業療法士はいなく看護師さんが中心だった。
当時日本の1970年代はまだ作業療法学の養成コースは大学にはなかったと思う。
「デ ホスピタル」では集団行動の目標を定めるためグループの合意を求めた。 当時まだグループ討議を誘導することはなかった。グループの自由な討議の結論に委ねた。ここでは生活の規律をつくることから始まった。心身を回復させ社会復帰していく前提となる。ここまでが「社会復帰」への訓練でもある。 「市井のおばちゃんから学ぶ弁証法」のやわらかな思考方法の常識的な指導でもある。
腰から上は手の動きと精神のあり方が中心となる。女子は台所に立つことなど自分の精神にしたがって5本指を自由に動かすことと精神の常識的なあり方だ。患者は電車に乗ることも恐怖を感じる。自立することに自信がもてない。こうした不安を少なくしていくために3年、4年と時間の経過が必要だ。電車のつり革に手を触れることにも過敏になる。
精神が元気になるとこうした恐怖や不安が消えていく。
作業療法士がテーマとすべき課題でもある。
最近ではグループ討議が弁証法的な思考方法で進められている。グループの合意が(正)(反)(合)の弁証法で進められているようだ。常識的な生き方が精神的病状を平癒していく。こうして社会参加できるようになる。
ストレスを背負う患者も一抹の光を見る。しかし、人格的成人になる前の思春期の発症は精神的混迷から脱出できるのだろうか?
今回の三笠書房 清水篤史編集長様の出版企画(仮題)「構成案+取材質問項目」は佐藤の弁証法で説明できる。
出版社でつくられる出版企画(仮題)「構成案+質問項目」は「正」「反」「合」の弁証法の理論的な側面である。本づくりの思いをここに集中する。書籍はどのようなソースでつくられていくか、まず普通は活字データが前提となる。
新聞、雑誌、インターネットなどのデータがソースとなる。どこからヒントを得るか? 編集者の力量だ。これらをどのような本にするかが編集者の思いだ。
現実のデータはすべて現実的、歴史的側面である。人脈を通した談話などからも本づくりのデータとなる。
これをどのような本づくりとするか。それは出版社の編集者の思いである。
本づくりのきっかけは「ものづくり」と同じだ。
理論的側面は出版社の編集者の思いである。本づくりで構成案がはじめに出てくるのは正しいとはいえない。「どんな本や記事にしたいか」がテーマ先行だ。
これでは著者任せにならざるをえない。創作出版が誕生した以前の状況だといっていい。編集者の思いが記事や本づくりに反映していない。記事や本づくりに魅力がもてない。こうした創作出版出現の思いだったと思う。
佐藤は「本が売れない」理由だと思う。
2001年発行の『出版大崩壊』の書籍から学ぶ。
簡単に終わらせてしまうが、「今まではこうだったよ」「現実はこうなっているよ」、そこから脱出していくには反省が必要である。書籍はエキサイティングだ。といえるような本づくりであってほしいと思う。
読者の関心に近寄る。読者のための本づくりに徹する。
これが出版の大衆化ではなかったのか? 難しい表現は「やさしく丁寧に編集者が著者に伺う。著者も気づかなかったことばの言い回しがあったり、丁寧な本づくりに徹する。著者が怒り出すかもしれない」。
しかし、結果良ければ著者も喜ぶ。著者は新領域に入ったと喜ぶだろう。
著者、編集者、ライターさんの文殊の知恵を超えて、編集者同士の文殊の知恵も喜ぶだろう。しかし、編集会議などグループ討議が不活発で個人の範囲では解決は難しいだろう。コミュニケーション不足がある。個人プレイが多い、etc.
ごま書房晩期で経験したが、書籍の構成案を章分けして各章にライターを立てた。本文中、表記の統一がライターによって統一されていない。人名についても外国人の名前で「―」(音引き)なのか、コンピュータというように音引きがないのかどうか、表記の統一ができていなかった。
多くの校正者は創作出版について知らない。編集者の大まかな校正箇所の指定もない。
表現の統一、文字校正が正しく行われていないと誤植だらけの書籍になる。 品位もない。出版社らしくない。
ぼくたちは創作出版でこういう経験をした。コスト上か、こうしたことが起こりやすい。「校正、されど校正」といわれるが、書籍づくりを最後までしっかりと行わなければ読者の信頼を勝ち取れない。ずっこけ書籍だ。
創作出版で注意すべきことは書籍の校正なのである。
校正の講習会へ参加しても、創作出版から生まれる書籍の校正について専門家先生は一般的に校正の視点を落としている。
電子書籍の校正は既刊本の校正である。ここでも同じことが起きている。
コストで考えることではなく、「かかる費用」はかかるものだ。
各章別々のライターが執筆した。「校正をどうするか?」課題もある。
だが書籍とは本来人類の希望だ。ぼくたちも雑誌の記事や書籍づくりに携わっている。
平成26年(2014年)9月13日 日本経済新聞は一面トップで、「iPS 世界初の移植 目の難病患者に 理研先端医療財団 1年かけ効果を確認」。
というニュースだった。目に光を失おうとする患者にiPS細胞が移植された。これは人類の希望ではないか! 書籍も人類の希望ではないのか! と佐藤は思う。ぼくたちの仕事の意味はお客様とパートナーシップでより良い書籍をつくりたいと思って携わってきた。
以上が「正」「反」「合」の弁証法、理論的側面である。
「こうしたほうが望ましいよ」「こうしたほうがよりニーズに合っているよ」。
これはぼくたち人間社会の希望なのである。あるべき姿といっていい。
出版界に希望を取り戻す。考える葦はぼくたちの仕事と連関する。
いま出版界に必要なのは希望だといった。それは創作出版が当面担っていくだろう。大きな枠組みを言っているので、小手先の目くらましではない。編集者が謙虚になっていく時だ。
ここに三笠書房 清水編集長様の出版企画『ほめる力』(仮題)「構成案+取材質問項目」を公表できることを喜びとするもので、あらためて書籍づくりに時間をかけている三笠書房様出版企画の取材質問項目の現下の意味を問うものであります。
と同時に、書籍づくりと音声ファイルを「見える化」して公表するものです。
問題意識は16年前に持ちましたが、いろいろハードルがあって実現できませんでした。 これを会社概要 経営理念2014年版にも掲載します。
書籍はどのようにつくられていくか、音声ファイルを「見える化」するものです。
(平成26年(2014年)9月10日「営業情報」に投稿。加筆、修正したものです)
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『ほめるのが上手な人は いつもうまくいく(仮)』
構成案+取材質問項目
2014/07/01
【先生へのご提案】
*蛇足ながら、「まずは〜しましょう」「〜するには二種類の方法があります」などのように、【読者が何をやれば?ほめ達?になれるか】をハッキリと示してください。
*抽象論、一般論だけでなく、どんなメリット、デメリットがあったか、ハウツウを使ったビフォア〜アフターなどを「具体的エピソード」を絡めてお話しいただければと思います。そのほうが読者にとってわかりやすい本になりますので。
*全体を通してビジネスオンリーになっていますが、所々で家庭(夫婦、子供)、彼・彼女などのコミュニケーション例も出したほうが、本としてもメリハリが生まれるように思います。
□まえがき(*まえがきについては、最後の取材でお聞きします)
●ほめるとなぜ奇跡が起きるのか
・「ほめる力」が大きな効果をもたらした実例
★体験談「企画会議の淀んだ空気が、一瞬にして五月の風のようになる」
(「ドリーム」のひと言で雰囲気が一変したエピソード)
*この体験談について、読者の眼にありありと浮かぶようにしたいので、その場の具体的な状況をもう少し教えてください。
・ ほめるのが苦手なすべての人に
−ほめることが苦手と気付いたら、そこが出発点。
−ほめることが苦手な人ほど、ほめることで起きる変化を見つけやすい。
□第1章 「ほめる」のがうまい人が、人生うまくいく理由
「ほめる」ことにはどういう意味があるのか。そもそも、「ほめる」とはどういう行為なのかを説明。そして、なぜ人をほめることで、人生うまくいくのか、そのメリットを理解してもらう。
●「人をほめる」のがうまい人は、人の長所をすぐに見つけ出す ・お世辞や耳当たりの良い言葉を言うことがほめることではない。
−「上司にほめられて不満」の理由No.1は「口先だけでほめる」(40.9%)、
(2014 年5月 20 日 株式会社サーベイリサーチセンター)
*そもそも「ほめる」ということには、どういう意味、役割があるのでしょう? また、先生からご覧になって「人をほめるのがうまい人」の特徴のようなものはありますでしょうか?
*ほめ言葉とお世辞の決定的な違いは? どんな言葉が口先だけと感じるのか? シチュエーション(状況、態度、表情、声のトーンなど)も含めて教えてください。
・じつは、上司がほめているつもりでも、伝わっていない場合が多い。
−「部下をほめる方だと思う」67.9%
−「上司からほめられる方だと思う」47.5%
(2014 年5月 20 日 株式会社サーベイリサーチセンター)
*なぜ伝わらないのか? 何が原因で伝わらないのか?
・どんな小さなことでも、事実として存在する価値を発見して伝えることが大事。
*一例をご紹介ください。また「価値(長所)を発見して伝える」ときのコツのようなものがあればご紹介ください。
・相手の価値が分かっていても、きちんと伝えない限り、ほめたことにならない。
*「相手の価値が分かっていても、きちんと伝えない人」は、なぜ「きちんと伝えない」ことが多いのでしょうか? また、きちんと伝える(口に出す)クセをつけるために心がけることは?
●「人をほめる」のがうまい人は、人によい影響をもたらすことができる
・いい影響を与えた実例
★体験談「ガソリンスタンドのやる気のない高校生アルバイトがリーダー格に」 (お母さんをほめたことで、本人ががぜんやる気になった)
*別項目? 若い人には「母親」、ある程度、年齢のいった人には「配偶者」「子ども」 といったように、「近親者をほめる」のはハウツウになると思いますが、いかがでしょうか? 嫌らしいですか? ただ。他人に自分のプライベートをほめられると、うれしくなる人は多いものです。
・その人の仕事が会社や誰かに貢献したこと、良い影響をあたえたことを伝えることが一番伝わるほめ言葉。
(例)「仕事が速いね」だけではなく「仕事が速いおかげで助かるよ」
・どんなほめ言葉がうれしいのか。
・具体的に、上司にほめられて嬉しいと思ったほめ言葉。
(→NG例と比較しながら説明する?)
(→詳細は2章以降で紹介するので、ここではあくまでも概要にとどめる)
「役立っていると実感できる言葉」(20 代・男性・民間)
「ひとつの仕事の背景まで把握した上で、労いの言葉をもらえると嬉しい」(20 代・女性・公務)
「工夫したことやその姿勢を認めてもらうような言葉」(30 代・男性・公務)
「やった事に対して気持ちがこもった『ありがとう』」(30 代・女性・民間)
「いかに自分が必要かを伝えられるとうれしい」(30 代・女性・公務)
「大変な仕事をがんばったね」(40 代・男性・民間)
「あなたのおかげでこの仕事がうまく進んでいる」(40 代・女性・公務)
「『いつも頑張っているね』とか『助かるよ』とかの言葉」(50 代・女性・民間)
(2014 年5月 20 日 株式会社サーベイリサーチセンター)
*上記の「ほめ言葉」に共通する要素は、何でしょうか? 「相手の存在・能力を認める」といったことでしょうか? となるとガソリンスタンドの例は、ちょっと違う?
*松本先生ご自身が、ほめられて印象に残っている言葉とは?
●「人をほめる」のがうまい人は、人から信頼される
・なぜ、あなたはほめることができないのか?
−ほめると相手は調子に乗るから? 甘く見られるから? そんなことはありません。
−相手はできていないことがまだまだ多いから? それは本末転倒
*松本先生の周囲で、「あの人はなぜ、ほめることができないんだろう?」と感じられる人がいましたら、その様子を教えてください。
・ほめるのがうまい人ほど、人を叱るのもうまい
−ほめることは相手を認めること、信頼関係を作る第一歩
★実体験「ほめること、相手の価値をさがしつづけていると、無意識にほめているらしい」(人をほめている著者は、部下から「一緒にお仕事するのが楽しい」とよく言われている)
*このエピソードで、松本先生は「相手をほめているつもりはなくても、ほめている」というようなことを仰っていますが、具体的にどのようなことなのでしょうか?
−信頼関係があれば、叱ることも、突っ込むこともしやすくなる。
−「何をほめられるか、何を叱られるか」より「誰にほめられるか、誰に叱られるか」で、伝わり方は大きく変わる。
−ほめてもらえる人から叱られたい。
*具体的にどういうことでしょうか? どのように「大きく変わる」のでしょうか?
・ほめることは相手や自分の心の扉を開けることであり、それが信頼につながる。
−心の扉が開いているところにしか、人も運も入ってこない。
*「心の扉が開く」と、どのようないいことが起きるのかを、具体的にお教え下さい。
・ほめることがうまい人は、異性にも同性にも好かれる
*なぜ好かれるのか、どのように好かれるのか?
●「人をほめる」のがうまい人は、言葉がきれいになる
*なぜ言葉がきれいになるのか? 想像力がつくということ?
・ざっくりとした表現に終わらずに、細やかな価値が見分けられるようになる
−ざっくりと「きれいですね」「美しいですね」では中途半端
−「髪の色が素敵ですね」「ブラウスのボタンが可愛いですね」まで、細やかに価値をはかれるモノサシを持つ。(その細やかさは、ある意味、新宿二丁目に学ぶ部分もある)
*「モノサシ」とは、形・大きさ・色・味・手触りなどいろいろあることを解説してください。あと、どのような「モノサシ」が有効なのでしょうか?「モノサシ」を増やすコツもご紹介ください。 また、意味のない「モノサシ」はありますか?
*新宿二丁目に行かなくても、細やかさを身につける方法はありますか?
★実体験「自分をほめる。自分の価値を見つける」
(自分を「イチゴ」ではなくて、「トマト」だと理解した女性の話。「人をほめる」とは、ちょっとずれるかもしれないが……)
*取材時に、この女性(のエピソード)について、詳しくお話しいただければと思いま す。「イチゴ」と「トマト」の差について、読者がわかるよう(共感できるよう)にご説明いただければと思います。
●「人をほめる」のがうまい人は、自分を高めるのもうまい
・人の長所を見つけて「ほめる」ことができる人は、その優れた点を自分に反映することができる。
−価値を見つける観察力と表現力があるので、その価値を自分に刷り込んでいく(反映する)ことができる。
*「価値を自分に刷り込んでいく」という行為について、具体的にどのようになるか教えてください。
−結果として、自分の周りの「優れた人」をみな手本にできる。自然とそれに近付いていき、出来る人の仲間入りしていく。
★体験談「ほめ上手な後輩に、あっという間に成績を追い越された!」
(人をほめることは、自分の目指す姿を見つけることにつながる、という例)
*取材時に、この体験談について細かくお話いただければと思います。というのも、下記のような要素を、この後輩の方がすべてお持ちのように思われますので。また、非常にインパクト大のエピソード(後輩)なので、読者の心に刺さるように思います。
・発散するものが明るく、ネガティブにものごとを捉えないので、仕事に対しても肯定的に向き合えると評価される。
・インプット、アウトプットを日常的に繰り返しているので、人の印象に残りやすい。 −結果として成果を期待される人となり、何かの時に思い出される。仕事での抜擢、登用、昇進のチャンスが増え、引き立てられる。
・他人を認めることは、自分を認めることにつながり、ほめることができる人は自分に自信をもつことができ、ますますできる人になる。
*「他人を認めることは、自分を認めることにつながり」ということを、もう少し詳しく教えていただけますか。
□第2章 「ほめる」のがうまくなる法
とくにビジネスの場面における「ほめ言葉」の活用法や効果について、今日から現場で使える実例とともに紹介する。
●「人をほめる」のがうまい人は、営業成績もいい(*本項は「ほめるメリット」についての項目ですので、1章にあったほうが妥当のように思います)
・すぐれた観察力によって成績を伸ばした営業マンの例
・ヨイショやお世辞ではもう通じない。
*なぜ通じないのか? なぜお世辞じゃダメなのか? また、こちらはほめたつもりでも、相手からヨイショやお世辞と受けられる危険性はありませんか?
・お客さま自身の価値を見つけてよろこばれる営業、お客さまが買いたいという商談
*価値を見つけるコツは?
★体験談「超!気難しい、クレーム社長が、最高の得意先に」
(客先の事務所でプリンターの多さに気づいたことで、相手のウリを発見)
●「ほめる」にもマーケティングが大切
*「ほめる」ことに慣れていない人が「ほめ達」になるために、一番大事なものは何だと思われますか?
・自分から見て、相手の価値だと思っていても、実は相手の取組みや成長、目指しているものが違う場合がある。
−「そこをほめられてもうれしくない」こともある。
例:ものすごく成績のいい営業チームのリーダーに「さすがの営業力だね!」と言う言葉はほめ言葉ではあるが、実はそのリーダーは、バックオフィスのクラークのサポート体制の構築に力を注いでいたかも知れない。その場合のほめ言葉は「さすがのチームビルディングの結果だね!」となる。
−ほめられる相手の、ウォンツ、ニーズ、課題を見つける。ほめるにもマーケティング を。
*そのためのコツは? どんなウォンツ、ニーズ、課題が考えられるか?
*また、ほかにも実例があったら教えてください
●「ほめたくない」ときこそ絶好のチャンス
・ライバルの昇進、大口契約、上司に気にいられている、など、嫉妬の気持ちが起きるとほめたくないもの。実はそこにほめるヒントと、ほめることによって自分が得られる価値が隠れている。
「すごいよ!羨ましいな!完全にやられた。おめでとう!僕もこれから成果出すからね!いろいろ教えて!」
−相手を認めることは自分を認めること。自分を開示できる人は周りには大きく見えるもの。ほめることで、相手も成長し、自分もさらに成長する。
*嫉妬の気持ちがあると、ほめ言葉も口先だけにならないか? なぜ、ならないのか?
*このハウツウは「言うは易し行なうは難し」と思われるので、もし、嫉妬を抑える方法があれば教えてください。
● 「これは何のチャンス?」
・出来事をほめる。難しい出来事にも価値を見つけて、課題解決のエンジンにする。
*価値の見つけ方のコツは? また「チャンスの題目」を見つけるコツとは?
・人、モノの価値を見つけることだけでなく、起きる出来事にも価値を見つけることで、ネガティブでも楽観でもない課題解決能力があがる。
−出来事をもほめる態度は、必ず周りに好影響を与える。
「この後におよんで、企画の変更だって?もう時間がないのに。でも変更するってことはさらに良いものにするってことだね、少なくともこれを乗り切ったら、最高にビールが美味しくなるチャンス!?」
*これは、「マイナスの出来事(困難な出来事)をプラスに解釈する」という意味で考えてよいでしょうか。
*ほかに実例があれば教えてください。
*落ち込んでいる人を、ほめることで元気にすることはできますか?
●人をほめることができれば、人は動いてくれる
*なぜ、ほめられた人は動きたくなるのか?
・「ほめる」ことができる上司とできない上司
★体験談「1行のほめ言葉で、部下を動かす上司」
(メールや報告レポートに必ず1行のほめ言葉を添える上司)
*「1行のほめ言葉」は、簡単そうに見えて、かなり高度なテクニックのように思われます。実際、よく考えて使わないとルーチン化し、部下からは「またか」と思われる危険性はないでしょうか? そうならないためのコツのようなものをご紹介下さい。
★体験談「そこはほめるところでしょう! ほめられなくて沈んだ体験」
(やる気満々で新年を迎えた著者に、みもふたもないひと言を投げる上司)
*上司をほめて動かすエピソードもほしいです。
*「そこはほめるところでしょう!」で、部下のモチベーションに水を差すような、他よくあるパターンはありますか?
●「ほめる」ことでチームや会社全体がうまくいく
★体験談「ほめちぎる全国TV会議」 (優秀な成績を収めた営業マンを、TV会議でひたすらほめる企画。それを見たほかの営業マンも「ぜひ自分も出たい」と考えた結果、前年比138%の売上を記録)
・すぐに結果が出なくても気にしない
−ほめることで相手をコントロールしようとすると、すぐに結果がでずに、徒労のように思える場合がある。ほめることは相手に影響を与えること。また、自分の態度を整えて、じわじわと相手との関係をよくしていくこと。相手に変化がすぐに出る場合も多いが、変化が見えなくてもほめ続ける態度をとる。
*もともと「人をコントロールするために『ほめる』を使わない」という項目でした。これは、「コントロール」の意識があってはいけないということでしょか。「コントロールしよう」という気持ちがまったくゼロというのも難しいかと思います。どこまでがOKでどこからがNGということはありますか。
『人をほめる人は いつもうまくいく(仮)』
構成案+質問
2014/07/23
□第3章「ほめる力」をさらに高める法
「ほめる」テクニックの基礎編は2章なので、本章は応用編?「ほめる力をさらに高める法=思わずほめられるコツ」を紹介。わざわざ「ほめよう」と思わなくても、自然とほめ言葉が口からついて出るようになるための心得とトレーニング。
●近くの人をじっくり観察して違いを探す
・飛び抜けていいことだけでなく、ちょっとだけいいこと、少し変わっていることなども探してみる。(持ち物、服装、態度、行動、スキル、思いやり…)
・違いが見えたら、ほめることの第一歩。
「変わった時計ですね?」→ほめてはいないが、価値(相手のこだわり)に気付いている。
*価値に気付いた時点で、「変わった時計ですね?」と、口にしてしまってよいのでし ょうか。それとも、相手を選んで言ったほうがよいでしょうか。
*口にしてよいならば、持ち物以外の具体例(服装、態度、行動、スキル、思いやりな ど)も紹介していただけますか。
*先生のご経験から、ビジネスマン(上司、取引先、初対面、女性)であれば、「どこ」 をほめるのが、一番効果的でしたか?
●「ほめる力」は観察力×変換力
・「ほめる力」は、相手の価値を見つける観察力。
例:話を聴く時に背筋が伸びている
*「価値を見つける観察力」を鍛えるには、どのような方法がありますか。(松本先生 の個人的な方法論、あるいは「ほめ達」の方法論を教えてください)
*どんなところがあるか具体的にいくつも挙げてください。7/20取材時の「緑の時計 バンド」のように。持ち物では? 服装では? 態度では? 行動では? スキルでは?思いやりでは?……そして下記のように、それらの変換の言葉も教えてください。
・大切なのは、価値を言葉に置き換える変換力。
−変換したら必ず言葉にして伝える。
例:「アナウンサーのように綺麗な姿勢で聞いてくれるね。なんだか普段より余計に一所懸命喋ってしまいますよ」
*同様に、「変換力」を鍛えるには、どのような方法がありますか。
*こうした実例もいくつか紹介してください。
・マイナスに見える点もプラスに変換してほめる。
例:「気難しい」→「慎重だ」「自分の意見をもっている」「軽くない」
「おこりっぽい」→「エネルギッシュだ」「パッションがある」「力強い」
「落ち着きがない」→「好奇心旺盛」「動体視力のレベルが高い」「フットワーク軽い」
*こうした「マイナスをプラスに変換する」用例を、具体的な場面にあてはめて紹介していただけますか。
*また、こうしたネガティブ言葉をポジティブ言葉にする変換例を、もっと挙げてください。『ネガポ辞典』当日持参します。
●一番大切なのは「ほめる」タイミング
*どんなタイミングで? 具体例をシチュエーションをつけて多数挙げてください。
★体験談「タイミングのいいほめ言葉は、相手の人生も変えてしまう」
(下手なテレアポを続けていた部下に、以前よりよくなった点をほめたら急に成長した)
*即座にほめるだけでなく、間をおいてからほめたほうがいいというケースはありますか?
*具体的に「タイミングのいい時」とは、どのような時なのでしょうか? このエピソードから、「人が結果を出した時」より「人が努力している時」というようなことが、言えると思いますが。「結果を出した時」は、本人もわかっているのでサプライズはないが、「努力している時」は結果が出ていないので、サプライズがない、とか?
●いつでも誰にでも使える「ほめ言葉」を用意する
・ほめるポイントが見つからなくても使えるほめ言葉のボキャブラリーを用意する
「雰囲気がある」
「いい笑顔」
「しぐさに安心感がある」など
*こうした「万能のほめ言葉」は非常に実用的だと思います。もう少し教えてください。また、それぞれどういう人に使うと効果的でしょうか。
●「ほめる反射神経」を鍛える
・ほめることは、日常会話のとっさの反射神経。
−ほめるボキャブラリーを増やし、ふだんからすぐに口にできるトレーニングをする。
*トレーニングの相手は誰にするのがよいでしょうか? まずは親しい同僚、家族? それともむしろ初めて会うような人?
*松本先生は、どういうトレーニングをなさったのでしょうか? また、ほめ達講座ではどのようなトレーニングをやったのかご紹介ください。
例:アイデア出しの企画会議で、誰かが現状では非現実的なアイデアを出した…
×「それ”無理”でしょ」
○「”奇想天外”なアイデア出てくるね!すごいわ」
・まずは自分が言われてうれしいほめ言葉を書き出してみる。
−5分間で30個を目標に書き出してみる→意外と書き出せない。
−自分がうれしいほめ言葉で、まずはボキャブラリーを増やす。
*本文中に例として挙げたいので、松本先生が言われてうれしいほめ言葉を教えてください。
・ほめることは、相手を認めること。相手を認めるには自分も受け入れることが必要。また、自分ではなかなか見えにくい自分の「価値」を発見することも必要。(←ほかの章・項目で述べたほうがいいか?)
*「自分ではなかなか見えにくい自分の価値」は、どうやって発見すればよいでしょうか?
●ほめるのがうまい人の口グセ(「ほめ達!」の口グセ)
・「すごい」「さすが」「すばらしい」(ほめ達!3S)
−まずは、「すごい」「さすが」「すばらしい」と言ってみる。それだけで終わると中途半端なほめ言葉(場合によってはバカにした、見下したような言い方)になるので、脳があわてて理由付けしようとする。
例:「髪切られましたね、さすがいまの季節にぴったりですね!」
*初心者は、「脳があわてて理由付け」は簡単にはできないかなとも思います。理由 付けできずに終わって、逆効果になる危険性はないでしょうか。理由付けが、どうしても出てこないときの「逃げ道」や「うまい収め方」はないでしょうか。
*「すごい」「すばらしい」の例も教えてください。
*また「すごい」「さすが」「すばらしい」の効果的な言い方も教えてください。これらの言葉を連発していると、軽薄な印象を持たれてしまうような気がしましたので。
・避けるべき「でも…」「だって…」「どうせ…」(言葉の3D)「やっぱり…」「所詮…」
*これら「ほめ達禁句」を口に出さないようにするコミュニケーション術(会話術)があれば、教えてください。またトレーニング法とか、あるのでしょうか?
*それでも、「でも…」「だって…」「どうせ…」「所詮…」と言いたくなるときがあるかと思います。どうすれば、言わずにすますことができるでしょうか。
『ほめるのが上手な人は いつもうまくいく(仮)』
構成案+質問
2014/08/13
□第4章 相手の心に”ささる言葉”の見つけ方
「「ほめる」テクニックの応用編。「ほめ達!」の秘技の数々を紹介する。
●”サウンド・バイト”のテクニックを活用する
*そもそも”サウンド・バイト”のテクニックとは?
★実体験「支店での評価はぼちぼちでも、キミにとってはグレートな成果でしょう!?」(著者が先輩営業マンからかけてもらった言葉、できる営業マンはほめ方を知っている)
*この項目のツボがよくわかりません。「ささる言葉」というより「ささるポイント」のことでしょうか? つまり、この場合であれば、「成功したこと」より「失敗しても頑張っていること」をほめたほうが、相手に対して効果があるということでしょうか?
*どのようなシチュエーションの時にかけてもらったのか──まわりからはあまり評価されずに落ち込んでいるとき? 声をかけるタイミングについて、お考えのことがあれば他の例もあげてお話しください。
・やや突拍子もない短い表現で相手を捉える→印象に残す。
「山本さん、今回のプロジェクトまた魔法を使おうとしていますね!?」
「おっと、またミラクルなオペレーションが始まりますね!」
「山本さんと仕事をすると、ワクワク感で何でも出来そうな気分になります」
「山本さんの企画って、なんだかいつもキラキラしているんですよね」
「間違いなく他社とは超徹底的に違いますね」
「何が何でも、抜群です」
「圧倒的と呼ばせてください」
「個人的に大好きです」
*松本先生は、最初からこういう言葉がスムーズに出てきたのでしょうか? それともかなりのトレーニングを積んだのでしょうか? このような言葉がスムーズに出てくるには、どのようなトレーニングが必要ですか?
*これは効果も多い代わりに、相手によっては反発を受けそうな気もします。使用上の注意はありますか? とくに、上記→の部分は、ちょっと言い過ぎでは?と思います。このあたりの嫌みにならない線引きが難しいですが、ほめ達以前の読者でもわかる「タイミングの掴み方」とか「シチュエーション」の見分け方はありますか?
*突拍子のないホメは、ほめる対象を選ぶと思いますが、いかがでしょうか?
*似たようなフレーズでも、ささらない表現や外してしまう表現はあると思います。「ささる」か「ささらない」かの差はどこにあるのでしょうか?
●「人をほめる」基本は、主観でほめ切ること
・相手が目上の人(たとえばベテラン上司)の場合、主観で自分の価値観でほめ切る −新入社員とベテラン上司などでは価値観が大きく違う場合があるので、安易な感想や評価は軽く見られることがある。そこで「私は〜と思います」「〜感じます」と自分の価値観として言い切って伝えた方が、相手に受け入れてもらいやすい。 「アンティークでとてもセンスを感じます」
*つまり、ほめ言葉のあとに「思います」「感じます」をつければいいということでしょうか? 簡単な例文でいいので、もう少し具体例を紹介いただけますか。
●右脳にささる「ほめ方」をする
・叱るのは言葉だけ、ほめる言葉は文字で残す −ほめ言葉や感謝をポストイットなどで、机に貼っておいてあげたり、書類に貼って返してあげると、言葉だけで左脳に届けるほめ言葉よりも、右脳に届いて何倍も心に残る。
「綺麗にホチキスどめしてくれてありがとう。資料がしっかりしたものに見えて、プレゼンもバッチリでした!」
(日本ほめる達人協会には「ほめも」というほめる専用の付箋があります)
*次回取材で「ほめも」を持ってきていただけないでしょうか? また「ほめも」の特徴を教えてください。
*松本先生の例は、対女性向けのものがやや多いような気がします。もしくは、「ほめも」は女性に対しては効果的ということでしょうか? 対上司、対部下で効果的な「ほめも」活用法があればお教えください。
・文字に加えて画像化することで右脳にも届ける。
−伝言メモなどに、顔文字を添えるだけでも、相手を応援する気持ちが何倍も伝わる。
*顔文字というのは「使う相手」をかなり選ぶような気がします。松本先生は、どんな相手に、どのような顔文字を使っていらっしゃいますか? また、顔文字以外に、「画像化」のテクニックを使っていらっしゃいますか?
・エピソードを映像化して右脳に届ける。
−ほめ言葉はそれだけでも心に残る場合が多いが、エピソード、ストーリーで伝えると、映像とともに相手の右脳に届き、心に響き、記憶に残る。
「先週、社長の行きつけのBarで社長と飲んだのだけど、そうあの、銀座の昭和な感じの。鈴木くんの話になってね。社長も知っていたよ、こないだの企画の進行、鈴木くんが苦労して調整とったこと。社長はニコニコして鈴木くんのことほめていたよ。期待もしているって言っていたぞ」
*エピソード、ストーリー化するときのコツはありますか? とくに、「このポイントは外してはいけない」というささるポイントがあれば教えてください。
*また、読者がイメージしやすいように、エピソードの画像化の例を他にもいくつかあげてください。
●言われて誰もがうれしくなる「3段階ほめつくしテクニック」
・第1段階 傾聴
−相手の思いを確かめる
「こだわりとか、思い出とかあるのですか?」
*傾聴のポイントを挙げてください。「どのようなことを、どのような言葉で」質問すればいいのか。例えば初対面の人には…
・第2段階 共感
−相手の思いを受け入れて相手の存在までほめる。
「すばらしいこだわりですね、さすが○○さん」
「素敵なエピソードがあるのですね。○○さんの人柄そのものですね」
*嫌みなほめ方になる悪例があれば挙げてください。
・第3段階 感謝
−自分や周りに対しての貢献や影響に感謝してほめる。
「そういうお話を聞くと、私も元気になります」
「そのこだわりが、お仕事にも通じているのですね」
*こうした「自分や周りに対しての貢献や影響に感謝してほめる」言葉が、ふつうの人にはすぐ出てこないと思います。何か簡単なコツがあれば教えてください。
*「3段階ほめつくしテクニック」は、会話の流れが大切だと思います。つまり、コミュニケーション能力に尽きる気がしますが、その能力に自信のない人(=読者)は、まず「傾聴」に専念すればいいでしょうか? と言うのも 「傾聴」が一番簡単なように思われますので。
*この第1段階〜第3段階の流れを、実際に即したストーリーにして2例ほど(たとえば1つは上司、もう1つは異性の同僚)作っていただけますか?
●ビジネスパーソンが今日から使えるほめ言葉
*多数の実用的な例を出していただき、ありがとうございます。すぐに使えていいと思います。ただ、この「時間をほめる」「外観、持ち物をほめる」といった分類は整っていますが、ある意味、当たり前で、読者に対して少しインパクトが足りないような気もします。ほかに分類方法がないものか、取材当日、みなさんの知恵を借りたいと思います。
*また、それぞれ「ほめたつもりで嫌みになる」「相手をちょっと傷つけてしまう」「ちょっと引かれてしまう」ような悪例もあるかと思います。そのような悪例をご紹介いただければ、さらに分かりやすく、使いやすくなると思います。
・時間をほめる(正確さ、几帳面さ、継続、積み重ね、相手への思いやりなどをほめる)
「いつも時間に正確ですね」
「必ず1分前には会議室にいますね。
「○○さんは、いつもメールの返信期日を守ってくださって、本当に助かります」
・態度をほめる(自主性、影響力、継続性、積み重ね、勤勉などをほめる)
「朝、みんなの顔を見ながら挨拶してくれるんで、オフィスが明るくなります」
「いつも先回りして準備してくれて、本当に助かります」
「冷静な立場をとってくれるので、会議の方向性が保てます」
・外見、持ち物をほめる(自分の価値観でシンプルにほめる。変化をほめる)
「爽やかなグリーンのカーディガンですね」
「眼鏡がスマートですごくお似合いです」
「書きやすそうなペンですね、筆記用具はこだわられるんでしょうね」
「髪、切られました?」
「なんか、痩せました?」
「最近、なんだかオーラがすごいですね!」
・スキルをほめる(本人がそのレベルに満足していないかも知れないので、個人的な尺度で感謝をこめてほめる)
「作業が速いですね」
「とても見やすくまとまっていますね」
「エクセルの色合いが気持ちいいです」
「現場の方々が使いやすいカテゴリー分けしてくれましたね」
「仕上げ工程でのこだわりか?愛か? 完成品に違いを感じますよ」
・メールでほめる(相手の業務や報告に対して、個別に感謝や貢献、個人的な感想を伝えてほめる)
△ 「スケジュールの調整ありがとうございます。OKです」
○ 「スケジュールの調整ありがとうございます。この日程、個人的にとてもありがたいです。こちらでOKです」
*ほかのほめ言葉についても、こうした「△と○の例」にできそうなものがあれば、考えていただけますか?
「さっそくの返信ありがとうございます。おかげで進行にドライブがかかりました!」
・特殊能力、スペシャリストをほめる(相手の独自性、質の高さなどをほめる)
「○○さんは、別格ですね」
「ご自分のブランドを作っていますね」
「○○さんしか考えられません」
・貢献や影響をほめる(感謝してほめる。以下、目に見えないものをほめる)
「お蔭で納期に間に合いそうだ」
「君の発言で、いいアイデアが出てくる突破口になった」
「さっきコーヒーを出してもらった時の笑顔や雰囲気がとてもよくて、停滞していた商談が一瞬なごんで、あの後いい方向になったよ」
・取組みをほめる(プロセス、困難、工夫など、今回の仕事でのその人自身の努力をほめる)
「これだけのデータの整理、相当時間がかかったでしょ、すごいなあ」
「支店長にメールで知らせる前に、全員に電話をしたらしいですね。その手間をかけてくれたことで、今回スムーズに進んだのだと思います」
「今回のプレゼンは相当練習されたんじゃないですか?リズムも良かったし、言葉の切れも本当に良かったですよ」
・成長をほめる(順位、結果だけでなく、成長、自己最高新記録をほめる)
「去年のキャンペーンの時の2割増だね、入社して最高の数字じゃないか?」
「前回のプレゼンより相当落ち着いて見えたよ」
・未来をほめる(期待、その人の将来像をほめる)
「このペースでいったら、来年はとんでもないことになりそうですね!」
「更に新しいステージに挑戦できそうですね」
「うちのチームの今後がものすごく楽しみになってきました」
『人をほめる人は いつもうまくいく(仮)』
構成案+質問
2014/08/20
□第5章 人生がさらにうまくいく、「とっておきのほめ方」
(旧)「ほめる力」がつけばコミュニケーションがうまくいく
著者が長年の営業活動で体得した「とっておき」のほめ方の心得を紹介する。「コミュニケーションがうまくいかない」と嘆くビジネスパーソンの助けになる秘訣満載。これまでの章と差別化するために、上級編という扱い? ただ、これまでの項目と重複するような内容も多く、再整理は必要。
●お客さまのファンになる
(販売、接客では、お客さまをファンにするよりも、まずお客さまのファンなる) ・ファンがするような笑顔、ファンがするような態度。
*「ファンがするような……」というのは、そうでない笑顔や態度とくらべて、具体的にどのように違うのでしょうか?
*また「ファンがするような態度」とは、「あっ、そんなことか!」と読者がわかるようにエピソードをあげて具体的に教えてください。
・販売員よりも顧客の方が商品知識が豊富なことも多々ある。顧客の知識や引き出し、ライフスタイルをほめて、顧客のファンになる。
*「顧客の知識や引き出し、ライフスタイルをほめる」ときの具体的な言葉はありますか? 「よくご存じですねぇ」「よくお調べになっていますね」みたいなことでしょうか? ライフスタイルのほめ方は、どのようになるでしょうか?
●お客さまの決断をほめる
(購入はお客さまの迷いの結果。営業、販売で、顧客が購入を決めたあと、その選択、決断をほめる)
「いい選択でしたね。」
「ベストチョイスだと思います」
「一番いいタイミングでの契約でしたね」
*購入を決める「前」ではなく「あと」に言うメリットは、どのようなことがあるのでしょうか?「ベストチョイス」「一番いいタイミング」というだけだと、相手から「どこが一番いいの?」と質問されそうな気がしますが、その答えももちろん用意しておくのですよね?
●お客さまは、存在自体をほめる
・初めての商談は、これから長いお付き合いをするお得意客に出会うのだと、態度を決めて会う。
・長い付き合いの上得意客に最大のサービスをする気持ちで初回商談も行う。
*とくに初回において大事な心がけ、心づかいはありますか?
・謙遜しすぎ、下手に出過ぎよりも、相手との出会いに対する感謝をベースに商談をする。多少気難しいお客さまでも、余裕をもってお話が出来る。
*まずは「お客 対 営業」という立場を取っ払って話をするということでしょうか? 気難しい人をなかなか好きにはなれないので、「相手を好きになる」より「相手に興味を持つ」ことが先ということですね。
*また「相手との出会いに対する感謝」とは言っても、そう簡単にできない人が多いと思います。ただ「感謝」というのは大事なポイントですので、「感謝するコツ」のようなものをお話いただければと思います。
・名刺交換、あいさつは、目を見て、名刺を見て、名前をほめて、フルネームで呼ぶ*このようなハウツウがほかにもあれば、お話ください。いろいろな項目にも入れたい と思います。
−目を見ることは、相手を受け入れていること、敬意にもつながる。
例:「秀男さん、秀でた男、ですね、すばらしい。よろしくお願いいたします」
*「どのように相手の目を見たらよいか」というコツ、あるいは松本先生が心がけていらっしゃることはありますか?
●お客さまの強みをほめる
・営業では、顧客を知って、強みをほめる。
−百戦錬磨の経営者、専門部署の担当者には、うわべだけのほめ言葉は通じない。
まずは相手企業をよく理解し、その企業の存在価値を、強みを伝えてあげる。(自社の強みは規模が大きくなるほど分かりづらくなるもの。コンサルティング料を払っても知りたいもの)
例:「この仕入れルートを探し出されたことは、御社の製品の品質の素晴らしさに大きく貢献されていますよね、ここも御社の強みのひとつですね!」
*これまでに出てきた「違いに気づく・分析・評価」というスキルのフル回転ですね。ここでは、松本先生ご自身(聞いた話でも、フィクションでもかまいません)が、顧客(相手)の強みを見つけた具体例をお話しください。前にもいくつかうかがっていますので、新ネタがあればありがたいです。
*また、ふだんから「顧客をよく理解し、強みを知る」ためのユニークなトレーニングがあれば教えてください。たとえば、「日経新聞の『私の履歴書』は必ず読んで、著名人の目の付けどころや人生のターニングポイントに、常に敏感になるようにトレーニングしている」とか、「その会社のホームページ、テレビや新聞の企業広告を見て、その会社のこれまで気づかなかった強みを見つける練習をする」とか──。もっと簡単な「強みを見つける」頭の体操術みたいなものがあれば教えてください。
●経営者の気になるところをほめる
・お客さまの部下や、現場、店頭など、経営者の目が届かなくで、気になるところをほめる。
「先日、仙台工場に伺ったのですが、受付の方も作業をされている方も、もちろん工場長も、皆さん本当に笑顔で迎えてくださって、素晴らしいですね!」
「○○駅前の店舗を何度か使わせていただいておりますが、いつもトイレがびっくりするぐらい綺麗で、それだけでも気分がいいお店ですよね!」
「今回の販促展開、どこの代理店さんでも強烈にプッシュしているようですね」
*「トイレをほめる」というのは、意外性があるうえに具体的で興味深いポイントだと思います。ほかに、こうした“キラーポイント”はあるでしょうか?
*仕事の業績や結果より、「笑顔」や「トイレ」といった、社風というかメンタル的な要素をほめたほうが、効果があるということでしょうか?
*逆に、「不安点」「ウィークポイント」を指摘して気づかせてあげるという方法も使うのでしょうか? これは「ほめる」ではありませんが。
□第6章 態度だけで「人をほめる」ことができる
言葉がなくても「ほめる」ことはできる。「相手を認めている」ことを、表情や態度で表現するというのがその基本である。「ほめるときの態度」について具体的なテクニックを紹介する。「態度でほめる」というのは、一般的な「ほめる」とはテイストが異なる印象がしたので、最後の章に置いてあります。この章の項目には、基本的な礼儀のようなものから、高度テクニックまでかなり幅があるような印象がします。本章をどのような位置づけにするかは要相談と考えています。
●言葉にする前に、まずは態度でほめる
・「ほめる」とは言葉だけではなく、相手を認める態度が重要。
−目をあわせる、挨拶、声がけ、それだけでもほめることは始まっている。
例:朝礼でリーダーがチームの成績をほめている。けれど視線は誰の目も見ていない、しかも無表情、意外とありがち。これでは、メンバーはほめられている気になれない。
*態度で一番気をつけたいのは「ほめる相手の目を見ること」と言い切ってしまっていいでしょうか?
*視線以外に、挨拶や声がけをするときに注意したいポイントはありますか?(次項目?)
・ほめることは相手を認めること。まずは目を見て話す。
・ワンセンテンス一人、しっかり目を見ながら話をする。
*相手が複数いるときは、ワンセンテンスごとに見る相手を変えるという解釈でよろしいでしょうか? とくに相手が大勢いるときに、一人ひとり見ていられないときにはどうすればよいでしょうか?
例:デスクでメンバーからの相談を受ける際、メンバーの方へ向き直って話をする。 ・胸で聞く
*「胸で聞く」という態度について、イメージはだいたいわかりますが、具体的に説明をお願いできますか。
●行動だけで相手をほめる7つのポイント
① 目を見る
② うなずく
③ 相づちを打つ
④ 繰り返す
⑤ メモを取る
⑥ 要約する
⑦ 質問する
*それぞれ、「こんなシチュエーションで効果的」というエピソードをお教えください。
*③は、単に「うなずく」だけではなく、「合いの手を入れる」という解釈でよろしいでしょうか? その際に、何か注意しておくべき点はありますか?
*④は、相手の言葉の一部を繰り返すということでしょうか?
*⑤は、何を要約すればいいのでしょうか?
*⑥は、具体的にどうすればよいのでしょうか?
●ほめるのがうまい人は眉毛でほめる(アイブローフラッシュ)
・一般的な日本人は、会話の最中に眉毛が動かない(多くは表情も動かない)
−相手に興味、感心を持つとき、相手の話に本当に驚くとき、喜ぶときには眉毛があがる。
「そうなんですか!」「すごいですね!」と言うと同時に、眉毛を一瞬あげると、傾聴や感動として相手に伝わる効果が何倍にもなる。
・目を大きく見開こうとするより、眉をあげようとする方が効果的。
*要は「表情豊かにほめる」ということでしょうか? ただ、これもやりすぎると嫌味、暑苦しさを感じさせるようにも思えますが?
*眉が動いているかどうか、鏡を見て練習・確認したほうがいいですよね。松本さんはそういうトレーニングをなさいましたか?
*アイブローフラッシュをクセにする方法があれば教えてください。
*アイブローフラッシュは、ほめの合わせ技だと思いますが、特にアイブローフラッシュによって成功したエピソードがあれば教えてください。
□実体験 その他
■ 目線をそらすコンビニの店員さんが、毎日笑顔をくれるようになる。
■ ほめられた言葉と、ほめてくれた人のことは、一生忘れない。
■ コンビニのおにぎり一つを「おいしい?!」と食べる人は、自分の人生を楽しみ、まわり元気にする。
■ 意外とまじめになってしまった、ほめる飲み会。
■ お前、ずっと19歳の感性のまんまだな。 ■ 減点方式では起こりえない結果が、加点方式では起こる。
『できる人ほど「ほめる」のがうまい(仮)』
追加質問+メモ
2014/08/29
□体験談
●超!気難しい、クレーム社長が、最高の得意先に
→2章
ある損害保険代理店の既存客の社長。自動車保険3台分だけの契約をもらっていたが、契約の手続きや営業マンの態度などで何度となくクレームの電話が入っていた。契約をなくすか、担当者を変えてくれとの要望に、既に2度、営業マンが変わっている。担当をはずされた営業マンは「変わり者なんだよ」「細かすぎる」「小さい契約なのに」と口ぐちに言っていた。
ある営業マンが3人目として送り込まれた。
その営業マンは、まず担当が何度も代わることになったお詫びから入り、「引き継ぎはありましたが、もう少し詳しく、○○社長のお仕事についてお聴かせください」と、事業について聞いた。うわさ通りに、ぶっきらぼうで、なかなか呼吸が合わない社長だったが、それでも話を聞くと、特殊で高額な装置を使っての非破壊検査の仕事。その営業マンは感心しながら聞いた。
「○○社長ご自身がこの分野の将来性を感じられて、脱サラしてチャレンジされたのですか?素晴らしいですね」
「社長が自ら勉強会をして、従業員の方々全員に国家資格を持たせたのですか!そこまで情熱的に取り組まれているのですね、凄いです。従業員の方々の、独学で勉強するよりきっと嬉しいでしょうね。ひとりで勉強って、大変ですものね」
「そんな特殊な、しかも高価な機械を載せるお車の自動車保険を担当させていただいていたのですね。気を引き締めます。ありがとうございます」
*ここまでは、前の二人の営業マンもやるのでは? と思います。この営業マンと前の二人が「決定的に違う点」は、どこにあるのでしょうか?
社長に笑顔が増えてきた。だいぶ打ち解けてきた頃、その営業マンは、事務所にパソコン用のプリンターが何台もあることに気付いた。
*なぜ、この営業マンだけが「プリンターの多さ」に気づいたのでしょうか? 何かしら理由付け(ハウツウ化)して、読者が応用しやすいようにしたいと思います。
「プリンターが沢山あるように思いますが、これもお仕事がらなのですか?」
「よく気付いたね、それがうちの会社の急成長の理由。毎月3000枚のDMを出している」
仕事はとても特殊でニッチだが、間違いなく需要がある。ただし作業に追われる仕事なので、営業にまわる時間ない。だから分かりやすい料金表を書いたDMハガキを、都内の関連する建設業者に送り続けている。発注側も、特殊な仕事なのでつてが少ないことから、渡りに船で問合せてくるという。
「へえ、社長、マーケティングまでお一人でされて、しかも目に見える効果を出しているんですね、素晴らしいですね、私も新規開拓が多いので、とても勉強になります。」
「うちの事務所でプリンターの多さに気づいたのは、キミが初めてだよ(笑)」
それ依頼、その会社のすべての保険契約をいただき、さらにその会社は規模を拡大し続け、その営業マンの最大、最高の得意先になった。
その社長は変わり者でもなく、気難しくもなく、ただ情熱をもって、日々工夫を凝らして事業に取り組んでいる方だった。そんな自分の思いと、自分の取組みに気付いてくれて、共感してくれる、価値観が近い仕事相手が欲しかっただけだったのかもしれない。
●ガソリンスタンドのやる気のない高校生アルバイトがリーダー格に
→1章(清水質問なし)
あるガソリンスタンドの新人のアルバイト、地元の、大人しい女子高生。
ほかの高校生と比較してもモノ覚えは良くない、作業も遅い、元気も笑顔もやる気もない、少し困ったタイプだった。競争の厳しい地域、接客業であるし、店長は厳しく指導したが、ほとんど時間をつぶしに来ているようにしか見えない状態だった。
ある日、店長は、そのアルバイトが車の窓ふきをしているのを見て、あることに気がついた。仕事は遅いし笑顔はないものの、窓のフチまで、きっちりと見つめながら拭いていた。しかも背の低い子だったので、思いっきり背伸びをして拭いていた。
「隅の方までしっかり拭くねえ!」給油しながら、何気なく店長は言った。
「あ、お母さんが、掃除は隅っこがだいじだって言うんでぇ…」アルバイトは小さく笑った。
「へえ、いいお母さんだねえ」
「あ、はいィ〜」こんどは嬉しそうに笑った。
その日を境に、そのアルバイトは、窓拭きの丁寧さにさらに磨きがかかり、いつの間にやら、スピードも上がってきた。そして1ヶ月もしないうちに明るく元気な態度に変わり、新人のアルバイトを指導し始め、ついにはアルバイトのリーダー格になり、店も全体も活気付き、お客さまの評判もあがった。
相手のこだわりを評価してあげることは、とても大事なことだと店長は思った。
また、人のこだわりには、家族の歴史が背景にある場合もあるのだと知った。
●企画会議の淀んだ空気が、一瞬にして五月の風のようになる。
→まえがき(清水質問なし)
長い不況を経験した日本の企業は効率化をすすめ、少数精鋭で収益を上げようとしている。
優秀な人材ほど、いくつものプロジェクトを掛け持ち、業務量の多さで疲弊しはじめていることも多い。
いつの間にか、企画会議は過去の成功例や失敗例の延長線での発想ばかりとなり、新しい挑戦が減ってきてしまっている。
「そのパターンは前に上手くいかなかった」
「こんな方法は過去にあったよ」
「その業務負担は、○○部が嫌がる」
みなそれぞれに一所懸命であることは間違いないのだが、最大公約数を探し出すような進行に陥る。
そこへ、前の会議が伸びて遅れて入ってきた企画室のあるメンバー。
「すみません!遅くなりました。うわぁ、今日のメンバーは、うちの会社のドリームチームですね!」
「また、相変わらずほめ上手ですね。」
「ドリームな企画出ました?」
「なかなか、ドリームが見えません」
「じゃあ、一番ドリームに近いのは?」
「そうね、さっき○○さんが言ったジョークのアイデアかな…」
「それ、めちゃめちゃドリームですね!すごい発想力!どうやったら出来ますかね?」
淀んだ空気が一気に動き始め、ここ最近にない、駆動力のあるプロジェクトが動き出した。
空気を読むことが上手になった世の中で、ほめることは、空気を変えていけることかも知れない。
●支店での評価はぼちぼちでも、キミにとってはグレートな成果でしょう!?
→4章(清水質問なし)
私が保険外務員時代、所属していた支店は全国でもトップの成績を出しつづける、優秀な支店だった。先輩営業マンたちも、スーパースターとして全国に名前を轟かしていた人たちが何人もいた。
毎日先輩たちが大きな契約を上げてくる。ホワイトボードの棒グラフが何回も折り返してしまう先輩ばかり。そんな中では自分のとってきた契約などとても小さく感じるし、また実際にさほど評価もされなかった。そんな中、ある先輩だけはいつも私が契約をとるたびにほめてくれた。
「松本さん、またごっつい契約とってきましたね!」
「いえいえ、ぜんぜん大したことないですよ。先輩たちにくらべたら」
「いやいやいやいや、比べる必要ないですよ!他人の契約じゃなくて自分の契約なんですから!すっごいですよ、それとるのにどれだけ時間かかりました?どれだけ他で断られました?ごっついですよ!グレートです!誰がほめなくても、自分でほめて上げてください。ぼくももちろん、ほめちゃいますよ!」
未達成感、現状不満足、自分の本来もっている力や価値に気付かず心折れてしまう人が多いなか、こうした言葉は人を元気付ける。そしてそれとともに、その言葉をかけた人に対する絶大な信頼も生まれる。
●ほめ上手な後輩に、あっという間に成績を追い越された!
→1章(清水質問なし)
数字が全ての営業マンの世界。とくに歩合制の新規営業では、生き残ることさえ難しい。
自分が掴んだノウハウなどは、真似されたくないので、同僚や先輩後輩には教えないという風潮もよくある。
私の営業マン時代の後輩の新人。真面目ではあるが、まだまだ不器用なところも沢山あった。ただ彼の素晴しいところは、隣の席に居た先輩の私の話をよく聞く。しっかり聞いて「へぇ?」と感心する。さらに「それめちゃくちゃスゴイですね」と先輩をほめる。
そして「僕も真似させてもらっていいですか?」と敬意を払いながら、すぐに行動する。
行動した後に「仰った通りのお客さまの反応でした!すごい!」「僕にはまだまだ使いこなせませんでした!やっぱり松本先輩のレベルじゃないと!」と、どんな結果が出ても報告しながら、また褒める。
ほめらて、また、彼の嬉しそうな顔に、ギスギスと仕事をしていた自分の気持ちが少し緩む。そして更に教えたくなる。結果、私が1年以上かけて蓄積してきたノウハウを、彼は2、3ヶ月で吸収してしまう。もちろん、もともと素質もあったのであろうし、私の話を傾聴し、敬意をもってほめてくれる態度は、お客さまとの面談の際も発揮されていたであろう。あっと云う間に私の成績を超えて、社内でスーパースターと呼ばれる営業マンになっていった。スーパースターになっても、彼の態度は変わらない。相変わらず私にも誰にもしっかりと向き合い、ほめて、さらに新しいことを吸収していく。
人をほめることは、自分の目指す姿を見つけることになる。そして相手の心を開かせて、また自分に必要な情報やスキルを集めることにつながっていく。
●ほめちぎる全国TV会議
→2章(不採用?)
*変わったエピソードですが、是非とも活用しましょう。部下のモチベーションを上げるために、朝礼や定例会議で「順番にほめあう」とか? 「ほめる」が習慣化すると、社内、部内が明るくなるのは確かです。ただ、シャイな日本人には、やや無理目の項目かも? 実際、このような話は自己啓発セミナー等でよく聞くが、目にしたためしがないので。。。12ページの「●意外とまじめになってしまった、ほめる飲み会」と組み合わせる?
毎年年度末の3ヶ月間に行われる営業キャンペーン。定例化されているがゆえに新鮮さがなくなったのか、この何年か盛り上がりにかけ、いまひとつ成果に直結しないものとなっていた。全国の営業担当管理職の会議などでキャンペーン施策を検討されるものの、なかなか現場の営業マンの気持ちに火をつけることが出来ない。
打開策のひとつとして、2週間に1回、朝礼の時間に、全国の拠点をTV会議でつなぎ、成果の出ている営業マンをほめたたえる「番組」を行った。
司会者(私)がニュースキャスター風に登場し、成果の出ている営業マンにTV会議を通じてインタビューをし、成功事例をひたすら「なるほど!」「それで?!」と傾聴し、「それはすごい!」「普通なら諦めるでしょうけど、よく継続しましたね!」「その発想は私にはありません!」とひたすらほめる、そしてたたえる。上辺だけのほめ言葉では決してなく、相手の工夫、取組みを具体的に聞き出し、ほめたたえる。
いつしか、全国の営業マンたちは、あの番組に出たい、頑張れば誰でも出られる、そんな意識になり始めたようで、キャンペーンに火がついた。
結果、その年のキャンペーンは対前年138%の近年にない素晴しい成果となった。
●目線をそらすコンビニの店員さんが、毎日笑顔をくれるようになる
→ペンディング(取材中に話題になる)
*このエピソードは是非とも活用しましょう。読者が「ほめる」効果を実感できる、良質のエピソードのように思います。「ありがとう」の一言で、店員の反応が変わってくるというのは、考えてみればすごいことですから。しかも、店員の立場に立って考えることは簡単なので、説得力がある。
*ただ「ありがとう」は、やや上から目線+ぶっきらぼう? 「ありがとうございます」。もしくは、笑顔のほうが効果があるような?
*店頭での「ありがとう」+笑顔の習慣は、欧米では当たり前(イギリスは違う?)のようだが、中国ではどうなんでしょう? と言うのも、コンビニ(ファミマ)の店員さんは中国人が多いので。彼ら彼女らが日々、無愛想になっていくのは、日本人客のノリが悪いから?
会社のあるビルの中のコンビニにほぼ毎日通っている。アルバイトの店員さんたちは、マニュアル通りに大きな声で接客をしてくれるが、仕方ないかも知れないが、心の通う接客ではない場合が多い。
「ありがとうございました」と大きな声で言ってくれていながらも、目線は下や横に流れてそれていく。
サービスがデフレをおこしているのかも知れない。私たち客側がその一所懸命さに価値を認めないから、彼、彼女らのサービスの価値がどんどん下がっていく。
お釣りとレシートをもらった後に目を見て「ありがとう」と言うだけでも、彼、彼女らに対しての立派なほめ言葉になる。サービスの価値をしっかりと受け止めてあげる。
本当にたまにで十分だと思うが「ていねいに、ありがとう」「いつも元気でいいね」などと添えると、たいていの場合、彼、彼女らはびっくりする。おそらく言われ慣れない、想定外のほめ言葉なのかも知れない。その瞬間に機械的だった表情が、花咲くようにブワっと明るい笑顔になることは、本当に多い。
やがて毎日、笑顔をくれるようになる。目をみてにっこりしてくれるようになる。結果として、気分よく毎日をすごせるのは、この私。
●タイミングのいいほめ言葉は、相手の人生も変えてしまう
→3章
*このエピソードも含め、松本先生の会社は「退社→起業する」方が多いような印象がありますが、いかがでしょう? やや特殊な印象もしますし、読者にもわかりづらいようにも思いますので、原稿では、そのあたりには触れないほうがいい?
私が営業チームのマネージャーだった頃。
自分で採用した営業マン、営業経験はないが、ハキハキと返事が出来る明るい青年だったので期待をしていた。しかし最初の2ヶ月、あまりの人生経験の少なさに、企業向けの飛び込み営業やテレアポ営業ではまったく歯が立たなかった。また、いわゆるチャラいところもあったので、成果が出ずにいた。
営業マンの雇用契約は、半年ごと、1年ごとに契約の更新があり、成果がある基準に達しないと雇用が継続されない制度だったので、2ヶ月の足踏みは大きな痛手。
それでも本人の(チャラいながらも)努力と、私の叱咤激励とで、彼は諦めはせずに営業に取り組んでいた。
オフィスの私の席の脇にはテレアポブースが並んでいた。彼はそのブースの、私に近いところでよくテレアポをしていた。
お世辞にもほめられないテレアポだった。声のトーンも、テンポも、滑舌も、お客さまとのやりとりも、まったくもって、ブリキで出来たロボットかのようなぎくしゃくとしたものだった。お客さまからお叱りを受けているような場面も何度となく感じられた。
でもその、ぎくしゃくには実は彼の努力があった。いろいろと工夫して、試していたのである。それでも、ぎくしゃくがひとすぎて
「そんなんじゃ売れないぞ」と、その頃まだほめることが上手でなかった僕は叱咤していた。
ある朝、いつものようにテレアポをする彼の声のトーンに少し変化を感じた。いい変化だ。
*前の取材でも若干お聞きしましたが、具体的に「どのような変化を感じた」のでしょか? 鈍い上司だと、部下の小さな変化を見落としてしまいますので、「変化に気づくコツ」のようなものも、ご教示いただければと思います。
一段落したであろう頃に私は近付いていって、
「なに?なんかいいじゃん?どうしたの?」
「え?なんか違って聞こえますか?」
「いいよ、すごい落ち着いた感じ」(実際はちょっとだけだったが)
「ほんとですか!?嬉しいなあ、昨日なんか悩んで眠れなくて、今日はもう、開き直ってやろうと思って」
「そーなんだ!いいね、悩んだ甲斐があったね。別人みたいにいいよ。肩の力も抜けてるし。それそれ、いけるよ、努力の結果が出始めたね」
「え?!マジ嬉しいです?!」
その後、彼は日に日にテレアポのコツを掴んでいき、そこそこの大きな会社の社長たちとの面談も取り付けるようになり始め、3ヶ月目の終わりから、一気にトップクラスの売上を生み出すようになった。
*上記「その後、彼は日に日にテレアポのコツを掴んでいき」とありますが、その都度、ほめたのでしょうか? また、彼が具体的に「どのようなコツを掴んだのか」をご紹介ください。
5年後、彼は代理店として独立できる基準に到達した。チャラいブリキのロボットが、株式会社を立ち上げ、経営者として羽ばたいた。
ほめることで、相手のスイッチを押し、持っていた力を発揮させてあげられることもある。ただ、それには、逃してはいけないタイミングがあるということにも気付かされた。
相手の努力を見守ること、相手の変化に気付くこと、いい変化を見つけてほめること、上に立つ身であれば、特に重要なことに思える。
●そこはほめるところでしょう! ほめられなくて沈んだ体験
→2章(清水質問なし)
私が営業マン時代。年末年始の休みの間に、自分の仕事のあり方を見つめなおし、新年の目標をさだめ、休み明けにはやる気まんまん。たまたま休み明け早々に上司と出張となり、新幹線の隣の席で、自分のやる気、目標などを熱く話した。上司からは「今年はやる気ですね!?」くらいの反応はあるかなと思いきや、特に感情のない声で「ま、結果出せばいいですから」の一言だった。そこはひとまず、ほめときましょうよ(笑)
●1行のほめ言葉で、部下を動かす上司
→2章(清水質問なし)
私の上司でこんな方がいた。
会議の席であっても、日常の報告業務でも、メールであっても、必ず1行分のほめ言葉をそえて、部下の行動を認め、感謝し、元気にさせ、更に行動をおこさせる上司がいた。
「その情報は、状況理解に役立ちます、ありがとう」
「その行動をすぐにしたことは素晴しいですね」
「私の気づかなかったアドバイスですね、助かりました」
「とてもスピード感を感じます。いいですね」
「それはチームのメンバーを元気にしますよ、すごいことですよ」
この上司の下では、すべての行動が無駄にならない気になってくる。また、上司みずからもよく動く、よく働く。自然と部下の動きは活性化する。
当然のように、この上司は若くして異例の昇進をしていった。
●ほめられた言葉と、ほめてくれた人のことは、一生忘れない
→ペンディング
*取材中も触れましたが、これもいいエピソードだと思います。ただ、教師や上司は、ある意味、鑑識眼があるので、「才能のある、なし」はわかると思います。当方も何度か言われた経験があります。現在は、部下の「才能のある、なし」も明快にわかります。ただ、具体的にどのような才能があるのかを伝えると「ほめ言葉」として弱い(文章がうまい、マメ、ハッキリ物を言う)ので「センスがある」という言葉を使っています。そのほうが相手も喜ぶので。この「センスがある」は、そのような使い方でいいのではないでしょうか?
高校時代に、センスがあるとほめられたことが2回ある。美的センスではない。
一度目は体育の時間、同級生に「お前、走るセンスがあるな」と言われた。その言葉の意味はよく分からなかったが、根拠のない自信となって、体育祭の中距離走に立候補してしまった。やる気があるから毎朝練習もして、上位に食い込んだ。
二度目は化学の時間、宿題の答えを板書させられたときに「松本は化学のセンスがあるな」とぼそりと言われた。それも根拠のない自信とモチベーションとなり、それから化学は良い成績をとり続けた。
男の場合、たった一言のほめ言葉で、一生走り切れるとも言われている。ほめられた言葉は自分をささえ、その時の嬉しさはずっと色あせない。また、それ以上にほめてくれた人は自分の心の中でずっと好印象で在り続けている。人をほめることは、その人にとって特別な存在になれることにつながっている。
(女性の場合、遠い昔のほめ言葉よりも、いまこの時のほめ言葉が大事とも言われている)
*この男女差は、どうして生まれるのでしょうか?
*「男の場合、たった一言のほめ言葉で、一生走り切れる」で、有名人の例のようなものはあるでしょうか? 「偉人伝」とかで、その手の話がよくあるような印象がしたので。
●ほめること、相手の価値をさがしつづけていると、無意識にほめているらしい
→1章
*この話も素晴らしい話です。この話は、「ほめる能力」が上達したら、無意識で相手のことを「ほめること」ができるようになる、結果、自分の印象も良くなる──といった文脈で活用できるように思います。
「松本さんは、いつもほめてくれるから、一緒にお仕事するのが楽しいんです。」
と言われたことが一度ならずある。ところが意識してその方たちをほめた記憶がない。もちろん、相手の素晴しさは十分感じている。ひょっとして、相手の素晴しさを感じていることだけでも、相手を認める態度、行動、言葉となっているのかも知れない。
●自分をほめる、自分の価値を見つける
→1章(清水質問なし)
自分をほめる、自分の価値を見つける言葉として、感銘を受けた言葉を最近聴きました。
20代の女性社員が、自分らしい道を目指して会社を退職するときに、彼女の口から聴いた台詞。
「私は、ずっとイチゴを目指して来てたのかも知れません。でもイチゴのようにスィートに可愛くなれなくて、悩んでいたのかも知れません。私は実はトマトだったんです。果物でなくて野菜だったんです。でも、私、とびっきりのトマトになりたいと思いました。人のためになるような、栄養豊かな、オーガニックな、ピカピカの、究極のトマトになります。なれる気がします。そう思ったら、毎日が楽しくなり始めました!!」
彼女は人を癒すことをもとめて、医療関係の仕事にすすんだ。若いけれど、仕事もできて、とても気遣いの出来る素敵な女性だったので、自分に自信をもてていないとは思えなかったが、おそらくこれから、自分にも人にも優しい生き方で、いきいきと生きていくことだろうと思った。
イチゴではなく、トマト。自分の価値を認めることは、勇気も決意もいることだと思う。ただしそれが出来てしまうと「とびっきりのトマト」が鏡のむこうに現れる。
●コンビニのおにぎり一つを「おいし?!」と食べる人は、自分の人生を楽しみ、まわりを元気にする
→ペンディング
*この話は、「おにぎり」に限らず、平々凡々の日常にも「美点」「利点」等を見つけたほうが周囲を明るくするということでしょうか?
*このエピソードを読んで、以前、ある著者から聞いた「アメリカの特殊部隊に入隊できる条件」といった話を思い出しました。それは「過酷な訓練で優秀な成績を上げる人」でなく、「過酷な訓練で仲間を励ますことができる人」だそうです。この手の別世界のエピソードなんかも絡めると、本としての深みが出るように思います。
仕事が立て込んで、昼はコンビニのおにぎり続きだったとき、たいていの人は「毎日じゃ飽きるな」などと言う。
そんな中、「でもお腹すいてると、コンビニのおにぎりもひときわ美味しくなりますね! このお赤飯なんかサイコー!塩加減完璧!ゴマ美味い!!おいしい?!」と楽しむ人がいた。
それをうけて「そうそう、コンビニのお赤飯、あなどれないよね!私も好き!」と被せる人が。さっきまでのぐったり状態が、一転してハイな会話に。
目の前にある価値に気持ちを向けるか向けないかで、同じ毎日が違ったものになる。
ほめる人は身の回りにどんどん花の種を見つけ、それを咲かせて楽しめる人。その人の周りは花畑のように明るいので、自然と人も集まってくる。
ほめない人は咲いてる花にも気付かないのかも知れない。もしくは知らず知らずに花をも枯らしてしまっているかも知れない。
「でも…」「だって…」「どうせ…」(言葉の3D)「やっぱり…」「所詮…」と、目の前の価値から目を背けようとする人の周りには、花畑の明るさがなく、なかなか人は集まりたがらないのかも知れない。
●意外とまじめになってしまった、ほめる飲み会
→ペンディング
*このエピソードも是非とも活用しましょう。5ページの「●ほめちぎる全国TV会議」と同じような文脈でいいのではないでしょうか? つまり、部内の飲み会があれば、部員それぞれがお互いのいいことろ「ほめあう」とか? ふだんは気恥ずかしくて言えないことも、アルコールの力を借りれば何とかなる?
大阪に単身赴任したばかりの頃、同じ課のコテコテの大阪人の同僚と、他の部門の2人と、たまたま帰りが一緒になり、男ばかり計4人で飲みに行った。
他部門の2人も単身赴任で、4人とも知り合って間もない。というか、よく知らない同士。
「じゃあ、よく知らないもの同士、ほめあう大会ってどうですか?」となった。
皆んなで一人を順番にほめる。よく知らないからこそ、雰囲気や態度、仕事の姿勢などを、頭をフル回転で言葉を探してほめる。ほめようとして相手を見ると、意外とほめるべきことが見えてきて
、 「いつも電話の応対が丁寧で、しかも声が通るし、人柄がいいのが一目瞭然ですよね」
「朝、駅から会社に行く交差点で何回か会いましたけど、遠くから笑顔送ってくれますよね」
「メールの返信速いですよね!あそこまで速い人は珍しいですよ」
「笑顔がいいですよね。ほっとさせてくれる」
普通は男同士の飲み会で「笑顔がいいですよね」なんて話にはなりずらいが、ほめると決めると、意外とまじめに、意外と真摯に、相手の良さを見つけて言葉にすることに照れがなくなる。
まだよく知り合ってない相手にも、古い知り合いと同じような印象を言われるのだと驚いたり、そんな風に(好印象に)見られるのだと驚いたりした。いずれにしても、気分の良い遊びだった。
4人順番でほめあって、一回りしたら終わりの短いお遊びで、その後は普通の飲み会となったが、その後この4人は仕事でも連携がよくなり、常に敬意を払いながら、協力しあえる関係となった。
●お前、ずっと19歳の感性のまんまだな
→ペンディング
*松本先生がさだまさしさんのマネージャーをしていたという話は、いい意味で、意外性があるので、是非とも取り上げたいエピソードです。ただ、やや唐突な印象もするので、原稿化する際は「ちょっと意外かもしれませんが」といったエクスキューズは必要。また、本書刊行時には、是非ともさださんにご献本させていただきたく思います。
*「さださん本人にもあちこちに連れて歩いてもらい」とありますが、具体的にどのようなところに連れて行ってもらったのでしょうか? ディテールを強化すると、話にリアリティが出てきますので。
*あと、さださんの意外な魅力がわかるような、マネージャー時代の他のエピソードも、ご紹介いただけますか?
*スミマセン。「お前は、ずっと19歳の感性のまんまだな」というのが、ほめ言葉のような感じがしないのですが? このあたりのニュアンスをお伺いしたいと思います。19歳の感性、肌といったように、「年齢でほめる」というテクニック?
*松本先生からご覧になって、さださんは「ほめ上手な方」でしたか?
大学を出て8年間、さだまさしさんのマネージャーをしていた。制作担当マネージャーという役割で、レギュラーの深夜放送や、テレビ出演などの制作進行、アルバム制作のサポートなどが主な仕事だったが、コンサートツアーにもよく付いて歩いていた。
多い時は年間260本ほどのコンサートを行っていたので、さださん本人もスタッフも、コンサートが日々の暮らしのようであった。
私は本当にさださんの音楽や独自の世界が好きだったので、コンサート会場では用事のない限り会場の中で聴いていた。同じ構成、同じトークでも、本人は毎回が初演のように全力でお客さまに向かっていくので、聴いている私も、毎回を新鮮な気持ちで向かい合うようにしていた。コンサートのクライマックスでは毎回深い感動とともに、涙が出たりした。
終演後、楽屋に戻り、毎回同じようにさださんに自分の感動を伝えた。
「いや、めちゃめちゃ、感動しました!」
「ほんと、最後のトークから、曲に入った一瞬、鳥肌たちました!」
「お客さまも間違いなく大満足です。たぶん、僕と同じです!」
これは本当に、おべっかでも、ヨイショでもなく、ココロから伝えた。多分、精一杯に言葉も選びながら、自分の思いも伝えた。
「お前は、ずっと19歳の感性のまんまだな」
一度、さださんに楽屋でそんな風に言われたことがあった。私の想像ではあるが、毎回のコンサートに本気で向かい合っている若いスタッフを喜んでくれていたのではないかと、今思う。
もともと大道具の積み降ろしや楽器のセッティングのアルバイトから始めた仕事だったが、そんな真剣さと、一所懸命伝えようとするところを拾い上げてくれたのか、さださん本人にもあちこちに連れて歩いてもらい、マネージャーになったのもバイト期間を入れて8ヶ月後のことであった。
さださんの会社を辞めてしまってからも、コンサートに遊びにいくたびに
「いや、めちゃめちゃ、感動しました!」
は続いており、いまだにお世話になり続けている。
●減点方式では起こりえない結果が、加点方式では起こる
→ペンディング
*これは非常にいい話。「相手の長所を見るコツ」として是非ともどこかで使いたい話ですね。とくに、パートナー、子どもなど家族に対しては、誰もが「ある基準」で見てしまうことが多いので、説得力=応用力がある話のように思います。
一般的には、評価には必ず「ある基準」があって、そこから減点方式で点数がつけられる。完璧ならば満点。
他人への評価は「あれが出来ない」「これをやってくれない」「ここがイヤだ」を並べてしまうのがありがちなパターン。仕事でも、恋人との間でも、夫婦、家族でも。
ところが、この一般的な評価の「ある基準」というのが、非常に怪しい。そもそもあるべきビジネスマンの姿や、あるべき恋人の姿、あるべき夫婦の関係、あるべき家族とは?
私も昔はこの「ある基準」に騙されてた時期があり、例えば家内に対して、
「なんで、これをやっといてくれないかなあ…」
「こっちは朝から晩まで仕事して疲れてるんだから、少しは…」
「アイロンがけのポイントが違うんだけどなあ…」
などと思っていた。おそらく彼女も私に対して
「なんでもっと子どもと遊んでくれないの?」
「普通のご主人はお風呂掃除くらいするけど…」
「私だって、朝から晩まで家の用事で疲れてるんだから、少しは…」
などと思っていただろう。
そもそもはっきりしない「あるべき夫婦の、ある基準」でものを考え、減点方式で考えている。またこの減点もいい加減なので、全体が100点なら、冷静に考えると3点くらいの減点のはずなのに、いきなり50点引いてしまったりする。3つも×をもらうことがあったら、評価はすっかり0点を通りすぎ、マイナスになってしまう。
マイナスな状態の2人がさらに、減点し合えば、それはもうよろしくない泥沼状態になってしまうのはゆうまでもない。
なので何年か前から、減点方式をやめ、加点方式にすることにした。
「こんなことやってくれてるんだ。ありがたい」
「疲れてるだろうに、僕が寝てしまってから食器の片付け、大変だよな」
「知らぬ間に、近所の子どもたちに大人気なんだな、うちの奥さん」
加点方式には実は満点がない。青天井で相手を評価することが出来る。さらに加点方式で積み上がった相手の素晴らしさは、自分にとってのしっかりとした価値となり、少々の「減点」的なことがあっても、全体から見れば本当に小さい減点だと分かってくる。むしろ減点することに意味がないと思い始める。
どんどん家内が在り難い自分にとって素晴らしい存在となっていく。
子どもについても同じで、以前は
「しなきゃだめ」「しちゃだめ」「しなさい」
ばかりを言っていたような気がする。これも訳の分からない「ある基準」に照らし合わせて言っていたのだと思う。
今は「そんなことも出来るんだ?」「これ面白そうじゃないか?」「お前とんでもない発想できるね」「またよく知ってるねそんなこと!」「ねえ、これちょっとやってみちゃう?」 と、子どもに寄り添うことにした。
すると彼らは無限大の可能性を持っていることがよく分かってくる。減点方式で考えていた「つまらない基準」など、ひょいと飛び越えて、思いもしなかったことをし始める。加点方式「ほめる方式」は、人を成長させ、人との関係を本当に強い結びつきとし、自分をも成長させることが出来る。
※ お葬式の時によく思うのだが、亡くなった人が余程な人でない限り、個人は加点方式で語られる。
「こんないいところがあった」「こんなことしてくれた」「こういうところは真似できない」 本来、人はそんな風に、相手のことを思いたいのではないだろうか?
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