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 小社の求人広告を見て応募される。コンポジショニストとして採用されて、どんな仕事かわからない。
 コンポジショニストの仕事は、雑誌原稿や書籍原稿を原稿整理して電子デジタルテキストに変換する仕事である。
 タイプライター、ワードプロセッサーやコンピュータが発明されなかった以前は、清書や写本(manuscript)として存在したが、明治時代から印刷所での仕事であったが、最近出版業界では生原稿を原稿整理して電子デジタルテキストへ変換する(コンポージィング composing)仕事だ。
 原稿整理の進め方をどのように覚えていくのか。
 小社には仕事を覚えていく社内システムがある。コンポージングの実践と学習、座学によるテキスト(教材)学習と社内イントラネットのeラーニングを通して仕事を覚えていく。
 まず先輩の仕事を習(なら)うことである。習うこととは、繰り返し修め行なうこと。「お習字」でいうなら字をならい学ぶこと――それは字を稽古して身につけることと同じだ。もう一つの意味がある。習うと倣うの間に訓練(仕付ける)して仕事を覚えること。
 
 倣(なら)う、たびたび経験して慣れること。それが習慣となること。同化模倣という。
 口授(口伝)に対して学ぶべき秘事。師から習う。自分の中に取り入れる。それは、自分の外から自分のものにしていく。
 知識や技術をもって仕事(モノづくり)に対し五感が働く(機能)気持ちを測定できるようになり、伝える(口伝)ことができるようになる。知識や技術を習うことにより理解して自分の知識とすること。と広辞苑はいう。
 
 出版社からデジタルテキスト(manuscript)にするために著者の手書き原稿の原稿整理が依頼される。
 コンポジショニストとして採用されたスタッフの最初の仕事は、DTP mac編集対応のテキスト(文字)のワードプロセッシング(word processing 文字を織りなす)から仕事が始まる。このワードプロセッシングを訓練して、次にワードや一太郎で「基本版面」(組版原稿=生産材・中間品)を制作するコンポージングへと進む。
 書籍の「基本版面」を制作する学習をどのように取り組んでいくのか、まず第一番に学習しなければならない。
 編集工程は、原稿整理して文字組みし、校正し図版をレイアウトして印刷所へ入れる。編集権(総括)をもたないパートナーシップで関わっていく。
 コンポジショニストの実践・道場を中継する。

一口に本といっても、その中味は、大きく書籍と雑誌とに分かれる。いまここでは、雑誌を中心に、書籍にも触れながら、本が完成するまでの経過を、編集業務に重点を置いて辿ってみる。

新しい本造りの始動―1995年前後のワープロと電算写植機の連動
 1995年前後は、ワードプロセッサー(ワープロ)といわれる文書処理機の開発により、文章の印字、レイアウト、校正などがコンピューターを用いて行われるようになった。そうしてこのワードプロセッサーと電算写植機とを連動させることにより、従来では考えられないような速さで、記憶、配列、ページ組みが行われるようになった。まさに、出版・印刷業界の一大変革期を迎えようとしていた。まだ一部でしか使われていなかった。将来はこれが主流を占めることになった。このシステムによれば、これまでの原稿整理、レイアウトはもちろん、文選・植字など組版まで出版社編集部で行うことも可能であり、そのあと、初めて作業工程が印刷所の手に移ることになる。
 工程を簡単に説明すると、まずワードプロセッサーで整理済みの原稿を入力し、このワードプロセッサー、コンピュータを使って文字および文章を校正する。原稿整理はこの段階で行ってもよい。著者校正などのある場合は、フロッピィとよばれる保存用の記憶媒体を使って漢字プリンターで校正刷りを出し、活版と同じような手順で文字校正をする。ここまでが、活版でいう文選に相当する。文字校正が終わると、レイアウトや原稿指定などをワードプロセッサーで命令し、フロッピィに記憶させる。これが活版の植字に相当するもので、ここまでの工程を出版社編集部で行うことができる。
 次に、フロッピィを印刷所に持ち込み、電算写植機によって短時間で出力すると、いわゆる版下ができる。ここからは、通常のオフセットの工程に入ると考えていい。もっとも現在のところは、まだ文字情報入力の段階から、あるいはレイアウトなど編集情報入力の段階から、印刷所の手にゆだねる場合もある。
 従来の写植を使った印刷はほとんど姿を消した。
 DTPが登場した。DTPとは、日本語で卓上出版あるいは机上出版などと訳されているが、これまで専門業者の手にゆだねられていた印刷物制作作業を、パーソナルコンピュータを利用してできる限り編集者・デザイナー・ライター・カメラマンといったクリエイターの手で行おうとするものである。
 なお、フロッピィを保存することによって、内容に修正を加えたり、組み方や文字の大きさをかえたりできるようになった。
 
 ぼくたちの仕事は、この時代から関わるようになった。コンポジショニストに採用されたスタッフは全員未経験者であるので、仕事の流れ・内容を描いてみる。そして、仕事はどこからどうやってくるのか?あなたの仕事は次にどこへ行くのか?コンポジショニストや校正者になりたい応募者の参考になればと思います。
原稿整理までの本づくりの流れである。

企画
 企画は雑誌といわず書籍といわず本の生命であるといわれている。本の設計図・見取図をえがく重要な仕事である。
 企画を決定するためには、企画会議あるいは編集会議と呼ばれるものが、一定の期日を定めて行われる。雑誌の場合は、すでに創刊時に、読者対象、訴求方針、編集方針から、判型・印刷方式(版式)などまで決まっているので、それを踏まえながら進めることになる。
 編集員が企画会議までに考えてきたプランを出し合い、それを担当編集者全員で討議し、編集長がそれらの提案の中から何をとるかを決めるのが、一般的なかたちだろう。
 そこでは、次のようなことが討議される。1.特集あるいは特別記事を何にするか。2.特集と特集以外の記事の主題・内容・分量、および配列をどうするか。3.どういう執筆者にどこに重点を置いて書いてもらうか。4.原稿依頼や編集員の書く原稿(社内稿という)、取材の分担をどうするか。5.写真・イラストレーション(イラスト)をどうするか。6.締切をいつにするか。7.編集の費用をどれだけにするか(原稿料・取材費なども)。
 書籍の場合は、雑誌と違い、一冊一冊が原則として独立しているから、企画は一から始めなければならない。企画会議では次のようなことが討議されるだろう。1.どのような内容のものにするか。2.著者や編者をだれにするか。?どのような点に重点を置いて書いてもらうか。3.読者対象をどこに求め、どのくらいの読者を獲得しうるか。4.どのような書名をつけるか。5.どんな判型にし、どんな版式を採用し、どのくらいの頁数にし、定価をいくらにするか。6.いつ発行するか、そのためには原稿締切日をいつにするか。7.出来上がるまでにどれだけ費用がかかるか(印税率はどのくらいにするか、買取り原稿ならどれだけの原稿料を払うかなども)。

原稿依頼
 さて、企画が決まると、編集者は直ちに行動を開始する。
 原稿の依頼にあたっては、とにかく執筆の承諾が得られるよう、執筆者(書籍なら著者)に、企画の趣旨、依頼しようとする原稿の内容をじゅうぶんに説明する。執筆者がその主題で書くことに興味を持つよう努力するのは編集者の大切な仕事である。その際、原稿の枚数(四〇〇字詰原稿用紙で何枚)や、原稿の締切日、さらに原稿料(書籍の場合は印税率や買取り原稿料)などの取り決めについて説明がなされることはもちろんである。
 面談あるいは電話など口頭によって依頼が行われた場合は、あとから右に述べたような内容を文書にしたためて、執筆者に渡しておく。原稿依頼と並行して編集長はページ割りの進行表をつくる。本文の通し頁の下または横に、表題、執筆者名、原稿枚数、原稿締切日、印刷所渡し、初校出校、初校戻し、再校出校、再校戻し、三校出校、校了などの欄を設け、随時これに記入する。さらに進行予定の目安を書き込んでおく。

 企画→原稿依頼→原稿入手→原稿整理→原稿指定レイアウト→(印刷所入稿→文選・植字)→校正→印刷→製本→配本

原稿入手
 執筆依頼が終わったからといって編集者は安心してはいられない。ひきうけた執筆者が、はたして期日までに原稿を書き上げるか、なかなかむずかしい問題である。期日にキチンと原稿を揃えてくれる執筆者ばかりではないから、何度も足を運ばなければならないことにもなる。製品を仕上げてもらうのとはわけが違うので、むやみに急げ急げとせきたてるだけでは、かえってうまくいかない。家庭の事情、本人の病気、公用など執筆者にもそれなりの理由がある場合が多い。
 そういう中でいかに「原稿とり」をスムーズに進めるかは、編集者の人柄におうところが大きい。
 社内稿も原稿入手の時期までに書いてしまう。
 いよいよ原稿整理である。ぼくたちの仕事の領分をわきまえて、編集者の良きパートナーとして役割を演ずる。

原稿整理
 原稿を入手すると、まずその原稿を精読し、企画の趣旨や意図に合っているか、分量(原稿枚数)は適切か、などを吟味する。また疑問点やわかりにくいところをチェックする。そうして、問題があれば、執筆者と話し合って、書き直しや修正をしてもらうか、執筆者の了解を得て手直しをするか、どちらかにするのが普通である。
 また、用字・用語・句読点・送り仮名の誤りや不統一を直すことや、改行、時にはリライトなども行う。文筆を業とする人の文章は一応ノータッチを原則とするが、現実にはうっかりした明らかなまちがいや不統一などよく見られるので、それは了解を得ながら直していく。
 さらに、表題や小見出し、うたい文句(リード)などを考えてつけるのも編集者の仕事である。
 この間、座談会やインタビューの速記原稿の整理も進めていく。
 (『国文学』茂原輝史1958年8月臨時増刊号)

 次にコンポジショニストの仕事は校正入朱ゲラの「直し・修正」を、初校や再校に反映していく仕事だ。
 どのようにコンポージィングを進めていくのか? 校正を「表」とすれば、赤字が正しく直っているか、直しているかの「裏」の仕事で、「表裏一体」である。仕事の進行はどんな具合になっていくか、どのように進めていくのか。
「入朱点」を「直し・修正」していく。校正とはどんなことをいうのか、を学んでいく。

 これらは、編集者の編集業務で、コンポジショニストがパートナーシップで業務を分担していく。
 かつて印刷工場にしかなかった工場設備と工具が、コンピュータに代わり、独立自営業者が所有することにより、こうした仕事が在宅でできるようになった。
 誤字など、ワードプロセッシングに物象化しつつ、ぼくたちの仕事をイメージしてください。

 活版印刷では、割付した原稿を印刷所に入れてしばらくするとゲラ刷(校正刷)が出てくる。これを初校という。
 初校では、活字の拾い間違いも多く、その時、印刷所にない活字の入る場所には、俗に「ゲタをはかせる」といって、〓(形が下駄に似ている)の印が入ってくる。
 初校は、まず、見出しを見、字詰や行数、行間にも注意する。そして、原稿をゲラの近くに置いて、一字一字つきあわせるような、気持で丁寧に校正していく。最後まで見終わったら一息ついて、今度は全体の文の流れに目を通す。一字一字見ていた時には気がつかなかった文章の誤りがあるかもしれないからである。
 赤字を入れ終わったら、ゲラの最初のページの右肩に、「要再校」(再校を出してください)と赤で書いて印刷所へ返す。ゲラはたいていに二通出てくるので、一通は控えとして手元に残しておく。次の再校では、初めに、初校ゲラの赤字が正しく直っているかをチェックする。やり方はいろいろあるが、照合した初校ゲラの赤字部分を、青の色鉛筆で消していくと見落としがない。そのあと、もう一度文章を読みながら誤りを見つけていくのだが、初校のように、いちいち原稿と見比べる必要がないので楽である。
 が、初校の段階で原稿とのつきあわせがきちんと行なわれていないと、再校でも誤りが発見できず、誤植があるまま印刷されることになりかねない。もちろん再校でも、疑問が生じたらすぐ原稿や辞書で確認する必要がある。
 普通、再校では脱字が埋まってきれいなゲラが出てくる。何も訂正がなければ「校了」にするし、あっても赤字が少なく、印刷所に任せても大丈夫と思えるようなときは、「責了」(責任校了)とし、印刷所の責任で赤字箇所を直して印刷にかかってもらう。赤字が多すぎて不安な場合は、さらに三枚を出してもらう(「要三校」)が、三枚でも、よく見ると誤りがかなりあってあわてることもある。しかも印刷所にせかされているとイライラするが、落ち着いてやることが肝心である。
 コンポジショニストは校正ゲラ刷りにそって「直し・修正」していく。校正ゲラが読めなくてはならない。

赤字の入れ方
【誤字の訂正】
 校正でいちばん多いのが誤字の訂正である。直す文字をはっきり示して赤線を伸ばし、正しい字を書く。「見やすくわかりやすく」でふれたように、訂正が多くなってもよくわかるように、線が交差したり他の文字を消さないように、余白を使って一定方向に線を引く。縦組では右側(横組では上側)に線を出し、あまり長く伸ばさない方がいい。
 同じ文字、例えば「徴」の字が何ヵ所も間違っている場合には、いちいち指定するとかえって煩雑になるので、それぞれに◎印などをつけて、余白に◎=徴と書いておく。

【文章が抜け落ちている時】
 たまに、文章一、二行分抜けおちていることがあるが、そういう時は、抜けている文章を原稿用紙に書いて添付すると、増える字数がはっきりしてわかりやすい。その際、行のどこに挿入し、隣の行に何字送りになり、各行がどう変化するかを整理して計算し、明確に指定しておかなくてはならない。字送りを正確にするのは、一字の脱字を入れる場合でも同様である。

【文字をトル場合】
 「あの店のラーメンはうまい」という文章が、「あの店店のラーメンはうまい」と、「店」の文字がダブッて組まれていたとしよう。それを直すには、どちらかの「店」の字を一本線で消し、そこから線を伸ばして「トル」と指定する。この場合も、一字減ると行数が変わるかどうか確かめておく。
 文字をとったあと、そこをあいたままにしておきたい時は「トルアキ」と書けばよい。

【字間の調節】
 一文字とった時でも、隣の行の文字を動かしたくない場合、とった文字の行の下五文字(なるべくかな文字がいいが)の字間を四分アキにしてすませることがある。指定は、字と字の間の横にそれぞれ<の記号を入れて四分アキと書くが、<の記号だけでもわかる。反対につめる場合には、>の記号を使う。句読点を二分(二分の一文字)にしたい時も、その横に>の記号を入れて二分と書く。

【文字の入れ替え】
 「結婚式」が「婚結式」というように、上下の文字が逆に入っていることがある。これを訂正する記号は、ちょうどローマ字の「S」に似ている。Sの上の半円の中に「婚」を、下の半円の中に「結」の字を入れ、その二文字が入れ替わることを指示する。

【転倒文字を直す】
 かつて文字や記号が横倒し、あるいはひっくり返っていることもある。こんな時には、ローマ字の筆記体の「」をさかさにし、輪の部分をもっと丸くしたような記号を使い、その左先を直す文字につけて示す。ただし、文字で表した方がわかりやすい場合は、記号と文字を併用して示すと確実である。記号などに関わることがある。

【書体の間違い】
小見出しをゴシック体で指定したのに明朝体になってでてきた時は、その部分を囲んで、「G」または「ゴ」と指定する。「ゴシック体」と長々しく書くよりも、この方がよい。明朝体の略号は「M」または「ミン」である。
 写植では、平体(文字の背が低くなる)や長体(文字が細長くなる)、斜体などをかけられているので、それが指定通りに印字されているかどうかにも注意を払う。

【文字を小さくする、大きくする】
「ちょっと」のように、促音や拗音が入る言葉がある。この「ょ」や「っ」の文字が普通の「よ」や「つ」に組まれていたら∧(縦組では>)の記号を使って字を小さくする。小さな文字を大きくしたい時には、∨(縦組では<)で示す。

【指定の取消し】
 間違っていると思って赤字を入れたが、よく考えるとゲラが正しいという場合、指定した赤字をさらに消し、もとの正しい字のすぐ横に「イキ」と書いておく。が、間違えた赤字をよく消さなかったり、「イキ」をはっきり書いておかなかったりすると、印刷所で迷うもとになる。

【注意点】
* 送りがなの基準はあるが絶対のものではなく、書き手の好みによって様々である。「行なう」「行う」、「変わる」「変る」、「付き合い」「付合い」「付合」、「取り引き」「取引き」「取引」など、媒体によっても決まりは違う。が、同一文章の中で無神経な使われ方をしている場合には、執筆者の諒解を得るなどして統一することが望ましい。ただし、あえてそうした使い方をしていることもあるので、その辺が難しい。


* ルビが多い時は校正が大変である。普通の文字を追っていってついルビを見落とすことがあるので、校正を始める前に、どうゆう見方をするかを決めておいた方がいい。


* 最後まで誤りを見つけようとする心掛けは立派だが、校了の前にあまり文字を動かすと、できあがってきた印刷物の文字がさかさになっていたり、上下が入れ替わっていたりすることがある。直す時は、なるべく文字を動かさないように、字間を広げたり、句読点を二分にするなどして工夫する。そして、何回も同じ場所の文字指定を変えると、時間の無駄だし文字を拾う人の精神衛生にも悪いので、気をつけるべきである。
(「校正の実際」猪野健治 『国文学』1958年8月臨時増刊号)

以上、コンポジショニストの仕事の内容である。現役校正者の胸をかりて校正を学んでいく。小社は校正者を育てる学校である。

 ぼくたちの時代はマニュアル(手順・約束事)で育った世代でもある。マニュアルに正しく従う(手順)ということは大切なことだ。コンポジショニストは正しく原稿整理の仕方をマニュアルに従うべきである。それは次工程への気配りをもつ。
「文字=活字」について特別の関心をもち、自分の仕事に注意深さをもつ心構えをつくるには、この仕事が入門の適性や決意であるとともに「テキストを織る思想」に鍛えられていくことである。
 そして、この仕事への土台となる訓練を通していき、コンポジショニストになっていく。
 小社ではコンポジショニストはマルチテクノロジストとして成長していくことを望んでいる。人材の育成と成長のシステムがある。
 こうして校正者になり、トランスクライバーにもなっていく。原稿づくりにあたり、人づくりができていく。
 人材育成は成功する。活字が好きだけでは十分とはいえない。校正への目と力が自分の中にできて、初めて原稿づくりの心構えがつくられていく。
 遠回りのようだが、実は成功への近道なのである。そして、それが小社の人材育成の特徴といえる。
コンポジショニストはコンポージング・ノート(composing note)に疑問出しをして自らを鍛えていくことである。こうして訓練されていく。

 だが、仕事に対し、より創造的な取り組み、次工程や周辺技術にまで関心をもって、周辺技術を知るためその知識や技術も吸収し、次工程への気配りという積極的な仕事への取り組みをしようとしたとき、マニュアルという既成の古い仕事の仕方になってしまったマニュアルは、良心をもって領分の境界に注意し、創造的に新しい時代に合う新技術を勉強して、工夫・改善し古いものは「新しい仕方」へ変えていかねばならない。
その通り。古いものを破壊し、新しいものへつくり変えてこそ、新しい創造的な価値を生み出せる。イノベーション(改革)への永続的な取り組みである。
 このような姿勢で仕事に取り組んでいると、著者の生原稿の中に、たとえば「赤ちゃんの泣き声のように」、「ここをこうしてもらいたい!」と叫んでいるように聞こえる時がある。
 どんな仕事でもそうだが、「ここを直してほしい!」と声なき声を聞く力を持つようになって、どのように申し送りをすべきか、先輩からの助言(ノウハウ)を学ぶ。
 正しい手続き、手順は次工程へ正しく伝えられる。
「仕事」を通して、「どんな人間か、どんな仕事をするか、どんな成果をあげるか」がよく見えてくる。
 どんな人間か、どんな仕事をする人間に成長したか?
 バランスのとれた周りから尊敬される人づくり、何でもしっかりきっちりと仕事を成し遂げ、自分の仕事の現場を「営業の最前線」に変える人材として成長していく。
 どんな業種でも同じだと思うが、仕事の現場力を「営業最前線」へ変える(発展)ことによって、企業の競争力や営業の拡大に貢献できる。
 あなたの原稿整理した「原稿の品質」は、口コミで広がっていくだろう。仕事の姿勢ができて、感受性が高まっていく。
 こうしてキャリアがつくられ、次のステップへとアップできる。
 独立・自立できる人材へと成長していく。どこへ行ってもあなたは周りから優秀だといわれて頭角を現し、そうして評価されていく人材に変わる。
 編集者から「ありがとう」と言われるコンポジショニストになっていく。
 生原稿は何も語らない。母親は子どもの泣き声をいろいろと聞き分ける。仕事も同じである。
 仕事は完成された姿を目指して、完成へ向かって導いていかねばならない。原稿はあなたに「たくさん」語りかけてくる。それを全部くみとるようになる。仕事と対話できるようになって、その仕事のプロになっていく。完成へ向かって歩み続ける「姿勢」を持てないなら、あなたは「常にここに留まる」。前進できない。仕事との不一致が生まれる。
 仕事を習うとはここへ向かってスタートしていく始まりである。
倣うとは経験を積み重ねて慣れていくことである。ここにはコンポジショニストの仕事の「型」があり、「型」から入る。校正者は自分の型を持て!真似ていけ!そこから型が生まれる。口伝(口授)を通して真似していくことだ。
 お相撲さんも相撲社会へ飛び込み(入門)、「型」から入りお相撲さんになっていく。
 同化模倣の思想である。
 校正者になりたいといって校正の勉強を始めても校正者になることは難しい。
 原稿を「つくる目」「見る目」「直す目」を習っていくことに自ら原稿が校正の目で入るようになる。こうして校正者になっていく道へ向かってコンポジショニストは鍛えられていく。
 新しい型の校正者は、赤ペンで入朱していく目とワードプロセッシングのプロの両手使いになっていく。デジタル校正への契機をつくっていく。
 メディアミックス&ソフトノミックス
/の伝統の次工程へ気配りしたDNAが口伝される。それは仕事の完成度を高め、ミスを少なくするための型でもあり、先輩たちがつくってきた反省の教訓が詰まっている。
 しかし、常に基本は不易だと思うが、それで良いというわけではない。IT環境(コンピュータの力)等周囲の状況(サーカマスタンス)に気配りして、常に新時代の技術と知識と対話していかねばならないだろう。
 そしてこの項の最後に、コンポジショニストは月に何冊かの書籍を読む。一字一句扱っていく。仕事とは勉強することなのだ。多くの書籍づくりから仕事の思想に接して、自分の人間力成長の技術を学ぶ。いろいろな著者と編集者のやりとり(対話)で学ぶことが多い。それは、楽しいことだ。
 
 コンポジショニスト(compositionist)学習テキスト一覧
 
 ここに描かれる全体像をコンポジションに関する知識とします。
 さて、座学一覧は、
 『素直な心になるために』松下幸之助先生著 PHP研究所(共通テキスト)
 『社員心得帖』松下幸之助先生著 PHP研究所(共通テキスト)
 『成川式文章の書き方』成川豊彦著 PHP研究所(共通テキスト)
 『小さな会社は「人材の借り物競争」で勝て!』ぶんか社刊(共通テキスト)
 『はたらくママの必ず片づく魔法の4ステップ』オークラ出版(共通テキスト)
 (家庭と仕事の両立についてのテキスト。仕事と家庭の両立ではない)
 『仕事の思想』田坂広志著 PHP研究所(共通テキスト)
 『個人情報保護』岡村久道+鈴木正朝共著 日本経済新聞社(共通テキスト)
 
 本局『ディクテーティング研究』第5号
 本局『M&S ディクテ作業基準』(共通テキスト)
   『PHP研究所 数字表記基準』(A基準、B基準)(共通テキスト)
 本局『コンポジショニスト(conpositionist)の仕事』
 本局『編集支援プロセス校正の取り組みとご案内』
 本局『プロセス校正の進め方』
 本局『OCRスキャニングワークの進め方─デジタルテキスト再生原稿のつくり─』
 ■文化庁『公用書き表し方の基準』第一法規
 ■日本エディタースクール『標準 編集必携』
 ■日本エディタースクール『標準 校正必携』
 日本エディタースクール『パソコンで書く原稿の基礎知識』
 日本エディタースクール『文字の組方 ルールブック』(タテ組編)
 日本エディタースクール『文字の組方 ルールブック』(ヨコ組編)
 日本エディタースクール『校正記号の使い方』(タテ組・ヨコ組・欧文組)
 ■岩波書店・角川書店『国語辞典』送り仮名基準(共通テキスト)
 ■大修館書店『明鏡 国語辞典』同音異義語の使い分け(共通テキスト)
 
 本局『ライター養成ステップI−ハウツウ本の書き方−』(共通テキスト)
 本局『ライター養成ステップII−ハウツウ本の書き方−』(共通テキスト)
 『編集会議』2005年5月号『プロに学ぶ取材の極意』宣伝会議(共通テキスト)
 『インタビュー術』永江 朗著 講談社(共通テキスト)

 採用時に無料配布されます。
 なお、OCR機、FAXはweb「コンポジショニストの部屋」で相談され、機種を選定、量販店、ネットなどで購入します。購入のための費用は全額本局よりあなたの指定口座にお振込みされます。
■自分で購入
以上
(本稿は、平成18年7月23日 web「営業情報」に投稿され、加筆修正しました)

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