これは1999年(平成11年)5月『ディテーティング研究』第7号に掲載した。
最近、気になっていることに、平成20年7月下旬に発表された日本経済新聞 やさしい経済学――21世紀と文明「文明の衝突を超えて」北海道大学准教授 中島 岳志先生のエッセンスに接した。「一にして多、多にして一」の同一性について気になっていることを付け加えたい。
西田幾多郎の哲学「絶対矛盾的自己同一」にも関連するが、日本語の「ワナ」に入りこみ、そこでこの観念の渦に巻き込まれている。そう感じるぼくの問題意識には、日本語はことばの「葉」を紡ぎ、日本人の本質といえる「観念」(内容)を文として織り成す文章構造は思考の心象過程でもある。多くの日本人はこの日本語の文章構造のワナから抜け出すことはできないようだ。
欧米言語はものの本質に形式(言語、概念)が規定されて、本質は概念化する。概念化とは論理的な理論化であり、思想だけではない。論理のない無形の伝統的日本人の思想に陥っている。芸術として歌論も日本人の誇りだが……。
欧米においてことばという概念には固有の働きをもつが、日本人は文として紡ぐ。
「一にして多、多にして一」に陥る。論理的な分析ができない。自分の感情の感想になる。
概念化は更に分裂し、細分化する。
日本人は概念の分裂を構造化するのに「ひらめき」を放つ。いわゆる共同幻想に陥る。
日本人特有の世界観としての「絶対矛盾的自己同一」のアジア的思想言語を生み出してきた。絶対矛盾的概念を生み出す。世界観として戦前の大東亜思想といえる「共通」の言語を掲げることに陥る。
佐藤はみんなに「日本語で考えるな、英語で考えろ」と常々言ってきた。
中華思想を例にしても弁証法的に分解(分裂)し、細分化するには本質の概念化による論理的展開が必要である。日本語を操るかぎり失礼だが起承転結の感想文から脱却できない。多くの日本人にわかりやすく丁寧な文章をつくってきた。しかし、ここに非論理的な「ワナ」がある。
感想とは「感情」の「絶対矛盾的自己同一」なのである。単なるひとつの文学思想だ。評論であって非論理的な「哲学」でもある。
佐藤の直近の問題意識のひとつである“ものづくりの知識と技術”とは、生産インテリジェンスとひと言でいえる。ひとつの概念でもある。概念は論理的に働きとして分裂する。ことばの葉を紡ぎ文章で、ここに日本語特有の「ワナ」があり思想としての「ワナ」で、本質が概念化できないのだ。ものの内容をよく理解しているが論理的分析ができない。文化や技術の集積を背景として現代日本語を概念化しにくいワナに陥る。
いまだから言えることだが、21世紀は「日本人」を超えていかねばならないだろう。
方法論としての思考方法の行き着く先は言語習慣だ。それが思考の現実的傾向を生む。
本稿を読まれるにあたって
本稿の執筆は、平成8年1月〜3月上旬にかけて、(弁証法第1段階 第全(核)分析)、それから平成10年3月20日頃から7月20日にかけて執筆を中断、後の課題とした。本稿は書き下ろしたもので、「草稿」「第一稿」にしかすぎない。お読み下さる皆さんにはたいへん申し訳ありませんが、「繰り返し」「重複」「理論的展開上の推敲すべき箇所」「流れの切れ目(けじめ)」など、読まれて振り回される箇所が多々あると思います。
多忙を理由にする気はありませんが、4カ月に至る思考の記憶を「推敲」によって文脈を整えるべきであった──という事実を前提にしてスケッチか草稿にすぎないものを「お読み下さい」という非礼をまず初めにお詫び致します。
本稿の全体像は次のとおりです。
第2段階 実践的本質の第7分析から以降は今後の課題とした。
第3段階 第10分析以降は、現実的歴史的本質の新しい段階「新しい時代への進展」を量から質への質的展開について述べられる。
この中核をなす理論的本質の質的変化をもたらす理論の現実と歴史が述べられ、いよいよ第23分析は、パートナーシップの形式と内容との衝突に入る。
営業政策はいかなる課題に直面するのか? (株)メディアミックス&ソフトノミックス/はいかなるステップアップを成し遂げなければならないか? とても今、ここで「やれ!」と言われても「黙る」以外にない。(株)メディアミックス&ソフトノミックス/がいかなる物語の運命に直面するのかは、時間の経過を必要としている。
それで佐藤正明の草稿へ眼を移していただきたい。
「ディクテーティング研究」第7号のために!
『ディクテーティング研究』第7号
パートナーシップは前進する
目 次
本稿を読まれるにあたって
弁証法展開図
1)─全 弁証法第一段階第全(核)分析
パートナーシップの新しい21世紀の風
2)─1 弁証法第二段階第一分析
アメリカの企業社会とパートナーシップの誕生、
その集積そして消滅(倒産)─その現実と歴史的背景─
2)─2 弁証法第二段階第二分析
パートナーシップを生み出す現実的歴史的背景と理論的側面の分析
─社会的ニーズとパートナーシップのニーズを生み出す営業の理論と政策─
2)─3 弁証法第二段階第三分析
パートナーシップを生み出すわが国小企業法人
パートナーシップ独立自営業者の現実的で歴史的な誕生と
グローバルスタンダードへの道
─行為(営業政策)の理論と行為の本質である言語認識─
2)─4 弁証法第二段階第四分析
パートナーシップを推進する組織と政策
─無性遺伝;有性遺伝;正直・素直・誠実・個性の豊かな力を
統合する理論的形成の基本的(歴史的)要素─
2)─5 弁証法第二段階第五分析
現実的歴史的な流れから抽出されるパートナーシップの
理論的側面へのスケッチ
2)─6 弁証法第二段階第六分析
2)─6 第一節
現実的歴史的な流れから抽出される理論的側面の実践への課題(諸問題)
2)─6 第二節
パートナーシップからアウトソーシングへ
─サポーティング業務の未来はどうなるか?─
2)─7 弁証法第二段階第七分析
バーチャルな共同企業群の成立が生み出す現実的歴史的な経済構造との衝突
2)─8 弁証法第二段階第八分析
Joint Business = partnershipからJoint Venture
ジョイントベンチャーを生み出す
─その実践の理論的本質─
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