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――現場からの報告


出版界を下から支えるトランスクライバーたち
第50回 (株)メディアミックス&ソフトノミックスの佐藤正明さん


 実のところライター、編集の仕事というのは、手間や時間がかかる作業の積み重ねといっていい。企画立案から始まって、アポどり・取材・原稿書き・出版後のアフターケアまで、時間と戦いながら次々と仕事をこなしていかなければならない。そのなかでも、とりわけ面倒なのが取材テープの“起こし”だ。
 経験のある方ならばわかると思うが、テープ録音したものを文字に起こそうとすると早い人でもその4倍の時間がかかる。1時間のインタビューならば4時間はかかることを覚悟しなければならない。しかも、座談会などの起こしなどは、複数の人間が話しているだけに聞き取りにも苦労する。しかも、起こした原稿をそのまま使うわけではないので、時間を食うわりには徒労感の多い仕事だ。
 ところがよくしたもので、出版界にはこうしたインタビューや座談会のテープ起こしを専門にやってくれる人たちがいる。東京・町田にある(株)メディアミックス&ソフトノミックスも、そうした会社の一つである。
 しかし、同社の佐藤正明代表によると同社の行なっているのは「単なる速記流れのテープ起こしではなく、“トランスクライビング”のサービスを専門とするプロダクションなんです」という。
 佐藤氏によれば、トランスクライビングとは、テープなどに録音された講演、講座、対談などを出版社の第一稿であるトランスクプリション(録音再生原稿)に仕上げていく作業で、いわゆる速記やテープ起こしとは一線を画す。それは佐藤氏自らがアメリカのトランスクライビングの理論(談話・講演discourseを直接ワープロに電子テキスト化する)を学びながらディクテーション(口述筆記)する際のさまざまな手法や理論を開発したディクテーション学がもとになっているという。
 同社ではこうしたトランスクライビングを行なうスタッフをトランスクライバーと呼び、ライターも含めて現在51名の在宅勤務のスタッフを抱えている。
 トランスクライバーは全員が所轄税務署に個人開業届けを出して、自分のオフィス名を持って業務に当たる。仕事はすべて出来高制で、トランスクライバーのオフィスが子局、同社の事務所が本局となって全子局と本局がオアシス間P−P通信のネットワークで24時間結ばれている。こうした形態を同社ではインテリジェントパートナーシステムと呼んでいる。
「トランスクライバーが草稿を仕上げ、ライターがそれを構成する。ですから出版社の編集者にはいわばプロデューサーの役割を担ってもらっています」と佐藤氏は説明する。
 こうしたシステムをフル稼働して、今までに『組織の盛衰』『日本の世紀末の読み方』『「逆転運」のつかみ方』(PHP研究所)、『復活の超発想』(徳間書店)、『人類は21世紀に滅亡する!?』『彼女の撮り方』(ごま書房)、『セオリーゲームからの脱出』『ダイエットなしのボディーライン改造講座』(青春出版社)、『天変地異の法則』(学習研究社)など、すでに50点以上の書籍を手がけてきた。
 なかでもミリオンセラーを記録した『それいけ!ココロジー』(青春出版社 第1〜3集)は、同社の代表的な仕事となった。
 しかも、出版社との契約は印税+原稿料支払いが基本で、同社からライターへの支払いも印税で行なうケースもあるという。
 また、『THE21』(PHP研究所)、『PLUS1』(主婦の友社)、『COMO』(同)、『SPA!』(扶桑社)といった雑誌でも同社のトランスクライビング・サービスは活用されている。
 実際に筆者も同社のトランスクライビングのお世話になったことがあり、その速さと正確さという意味で、同社の仕事は大いに評価されてもいいと思う。
「とにかく今はトランスクライビングという仕事を社会的に認知させたい」と語る佐藤氏。
 出版界を下から支えるその自負と情熱は衰えない。

(フリーライター・森口秀志)
*図書館流通センター『週刊新刊全点案内』
 1995年1月11日号所収

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