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『デジタルビジネスのすべて』(「THE21」1999年4月特別増刊号)
『THE21』増刊号


誰にもできるの?
収入は安定しているの?
経験者が語る「SOHO」の理想と現実


「新しいワーキングスタイルとして注目を集めているのが「SOHO」という仕事の形態。「パソコンさえあれば、どこでもオフィス」「家庭と仕事の両方を充実させることが可能」と、SOHO人口は確実に増えている。しかし、果たして収入は安定しているのか。やりがいのある仕事はできるのか。実際にSOHOで活躍する3人の女性を取材した。

同業者との差別化を図るため
仕事に付加価値をつけている
 SOHOとは「スモール・オフィス・ホームオフィス」の略であり、簡単にいえば在宅勤務のことである。在宅勤務では限られた仕事しかできないのでは? と考える人は多いかもしれないが、意外にもその職種は幅広い。
 たとえば翻訳作業、トランスクライビング(録音テープの文字化)、編集、デザイン、ホームページづくりなど、自らの得意分野に合わせて仕事を選ぶことができるほか、企業から独立し不定期の受注で仕事をこなすかたちや、企業のパートナーとして定期的に仕事を紹介されるかたちなど形態もさまざまである。
 小資本で始められることもあり、米国ではすでに二千万人がSOHOに携わっており、日本でも百万人が個人事業を営んでいるといわれている。
 そもそもSOHOがこれだけ浸透してきた背景にはさまざまな要因が考えられるが、もっとも大きいのは、?コンピュータの普及?であることはいうまでもない。たとえばDTPについても、それまでは熟練した職人が活字を一つ一つ拾うという作業を行なっていたが、いまではすべて電子記号に置き換えられているので、コンピュータの画面上で比較的簡単に作成することができる。さらにインターネットの登場により、世界中からあらゆる情報を得ることができ、また大量のデータを素早く正確にさまざまな場所へ送れるようになったことも大きい。
 デジタル・ネットワークの普及で、いまや家庭イコール職場ともいえる時代が到来したのである。
 家で仕事ができることのメリットは数多い。通勤時間の縮小に伴う、余暇時間の拡大。会社組織での複雑な人間関係にも悩まされずにすむ。確かにサラリーマンにしてみれば一見羨ましい境遇のように思えるが、実際はどうなのだろうか?
 某大手出版社で編集者として働いた経験をもち、現在は(株)メディアミックス&ソフトノミックスから委託を受けて、トランスクライバーとして在宅で働く木原まりこさん(33歳)に話を聞いてみた。
「会社員のときは、通勤に往復三時間もかけ、深夜残業もあったので、それを考えると体力的にはとても楽です。また、最近はテープの頭の十分ほどを聴けば全体の作業時間が読めるようになったので、たまに朝寝坊をしたり、自分でスケジュールを組んで、友人と会ったり、ぶらっと美術館に行ったりもできます。生活と労働が融合している自由さがSOHOの魅力だと思います」
 では、仕事の面白さはどうだろうか?
「いまは作家や評論家の対談テープや、国会議員や学者による座談会の模様を録音したテープを再生原稿にする作業をしていますが、六十分のテープではおおよそ五、六時間はかかりますね。しかも一言一句洩らさずに完璧に仕上げなければならないので、意味不明な単語、自分が知らない単語は必ず辞書や『現代用語の基礎知識』などで調べる必要があります。時代の古い地名や人名、外国人の名前、土器の名前といった固有名詞については図書館で文献を当たります。もちろん、どこまで丁寧にやるかは個人の裁量に任されているのですが、私の場合はそのようなソフト的な部分で仕事の付加価値を高めようとしています。収入は会社員のときより若干減りましたが、仕事が楽しいので生活は充実しています」
 木原さんの場合、自ら仕事をとってくるわけではないので、出版社から安定的な受注が得られるよう、責任感をもって仕事をやり遂げ、さらに付加価値をつけて同業他社との差別化を図っているという。収入面も、メディアミックスから仕事を受ける女性のなかには、月収七十万円を得ている女性もいて、実力とがんばり次第では、むしろ高収入も望める。

子育てに追われる主婦には
家族のバックアップが不可欠
 実務書類の翻訳を手掛けている岩渕綾子さん(29歳)は、仕事を通して、自分の夢を実現しようとしている。岩渕さんは大学の英文科を卒業し、大手電気メーカーの関連会社に就職するが、その後も独学で英語を勉強していた。さらに結婚後退社してからも勉強を続けるうち、インターネットなどを通じて在宅勤務を知り、(株)パルディアから翻訳の仕事を依頼されたのである。
「翻訳を行なうときは、じっくり時間をかけて文章をつくっていくよう心掛けています。納得のいく表現になるまで試行錯誤を繰り返します。そして、締切の最後の一分まで何度も見直し、文章がおかしくないかをチェックし、音読までして確認します。いい加減な仕事をしていれば、仕事がこなくなったとしても文句をいえませんから。仕事に対する責任感は強く意識します。でも、自分にはとてもいい勉強になっています。将来、もっときちんとした文章を書けるようになったら、外国のノンフィクション作品の翻訳や、童話を自分で書いてみたいと思っています」
 しかし、二人の子どもの母でもある岩渕さんは、現在の在宅勤務を取り巻く環境の未整備も指摘する。
「自宅で仕事ができるからといって、家事と仕事が完全に両立できるかというと、そうでもありません。わが家は家族、とくに同居の義父母が家事や育児に協力的なので助かっていますが、小さな子どものいる家庭はたいへんです。パルディアではそんなことはないのですが、子どもを保育園に入れる場合に必要となる勤務保証書が、在宅勤務では発行されにくい場合もあるそうです。ですから、在宅勤務のお母さんたちは、お互いに空いている時間を調節して、子どもを預け合ったりと工夫をしているようです。それから通信費もバカになりません。日本はアメリカに比べて、まだまだ高い。ちょっとインターネットで調べものをするだけでも経費がかさみます。企業にいるときは意識しなかったことが、個人にとっては大きな負担になるのです。そういう点ではまだ制度的に未発達の部分がありますので、在宅勤務にはもっと社会的なバックアップが必要だと思うんです」
 アメリカと違い、日本では社会自体がベンチャー企業も含めた小規模個人事業に対して、関心が薄いことは否めない。とすると、家族のバックアップは必要不可欠といえる。
 同じくパルディアから委託を受け、コンピューターを使って書類を作成したり、アンケート結果をまとめている近藤睦子さん(35歳)も、夫の理解とアドバイスでかなり助けられているようだ。
「私の場合、夫も家事を分担してくれるので、他の人に比べたらずいぶん楽ですね。仕事中は、机に書類を広げたり、忙しいときは三日間も徹夜してキーボードを叩き続けることもありますので、どうしても家事がおろそかになってしまうこともあるのです。私は以前、教師をしていたのですが、コンピュータについてはあまり詳しくありませんでした。幸いにも夫がその分野に詳しかったので、私の仕事ぶりを眺めては『ここはこうしたほうが早いよ』と何かとアドバイスをもらいました。そういう意味では家族のバックアップはとてもありがたいですね」
 また、在宅勤務という形態が女性にとってどのように受け止められているかを聞いてみた。
「家事や育児で忙しくても、同時に社会参加して充実した日々を送りたいと考えている女性は多いと思います。でも、就職して会社勤めをすることは、現状ではなかなか難しい。その意味でSOHOとは、女性の社会参加へのステップになるのではないでしょうか。実際に私は十三人の主婦たちと分担して仕事をこなすことで、多くの人と知り合うことができましたし、コンピューターの簡単な知識や技術も身につきました。SOHOがお母さんたちの?何かやりたい!?という気持ちに応えられるような場になればいいなと思います」

社会的に認知されるには
確実に仕事を遂行すること
 高学歴を有し、専門知識や技術を身につけても、結婚や出産を機に退社してしまう女性にとって、確かにSOHOは社会復帰の場として理想的だといえよう。
 また、企業体質もグローバルスタンダードが求められ、年功序列型賃金、終身雇用制が崩壊し、個人と企業の関係がより対等になりつつある状況を考えると、将来インフラの整備が進み、社会的な地位も定着すれば、SOHOを選ぶ男性も増えるだろう。そして、やがてはすべての人たちが、男女の区別なく家庭と仕事を両立していく時代がくるのではないだろうか。しかし、逆に悲観的な意見があるのも事実である。
 トランスクライビングという仕事だけで自らの生計を立てている木原まりこさんは、仕事への心構えをこう語る。
「同じ在宅勤務の仲間とたまに会って話をする機会があるのですが、この不況のなか、自分の置かれている立場に不安を感じているという人が多いのも確かですね。私はメディアミックス&ソフトノミックスから業務の委託を受けていますが、この業界も同業他社との競争が激しくなっています。安定した収入を得るためには、仕事の精密さや正確さを磨いて、『○○さんに任せれば、安心』と信頼を得ることが必要です。また、SOHOには安定した委託を受けて収入を得ている人と、下請けとして条件の悪い仕事をさせられている人がいると思います。SOHOをする人の今後を考えると、安定した仕事の委託を受けられるシステムが必要だと感じました」
 より身近な空間で、自由なスケジュールを組み、個人の目的に合わせて仕事ができるのがSOHOの魅力である。
 しかし現在、ここに紹介した二社は例外としても、社会的にSOHOはまだまだ認知されているとはいえず、環境も整っていないところが多い。一人で生計を立てるだけの収入を得ることも難しい状況である。不況の煽りを受けて、彼女たちが請け負う仕事量そのものも減っているという。
 この究極の職務形態は社会に認知されないまま、一過性のブームに終わってしまうのだろうか。それではあまりにも寂しい。そうならないためにも、SOHOを行なう一人一人が、遊び感覚ではなく、スキルアップによって自分の能力を高め、確実な仕事を遂行していくことだろう。そこから信用が生まれ、社会的にも認知されることにつながっていくはずだ。

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