コンポジショニストとして仕事を始めてすぐ、エディタースクールにて校正の通信教育を受ける機会に恵まれました。これが、私の校正者への第一歩でした。入力の仕事を覚えることに懸命な日々の中で、わずかな時間を捻出しながら通信教育で学ぶというのは、予想以上に大変なことでした。校正という仕事の奧の深さと厳しさを目の当たりにし、弱音を吐きそうにもなりましたが、「必ずやり遂げて仕事に結び付けなければ」という一念で取り組みました。やっと念願の修了証書を手にできたときの喜びはいうまでもありません。
しばらくは従来の手入力によるデータづくりをはじめ、スキャナーとOCRソフトを使ってのデータづくりまでコンポジショニストとして幅広い経験を積んでいきました。そうした一つひとつの積み重ねの中で、コンポージングノート(お客様への申し送り事項を記載したもの)を毎回作成することは、校正者の目を養うのに大いに役立ちました。
実際に校正を手がけるようになって、特に判読の難しい手書き原稿とゲラの突き合わせの際には、くせ字に悪戦苦闘してきた入力の経験がここにきて生きていると実感することがあります。またOCRで作成されたゲラの場合には、自らの経験でソフトの誤認識について把握できているというのも大きな強みになっていると思います。
とはいえ、校正者としてまだまだ経験の浅い私にとって、困った時に必ず力になってくれる先輩方の存在が何よりの支えになっています。
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