メディアミックス&ソフトノミックス
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トップインタビュー
TOP INTERVIEW
佐藤正明社長
株式会社メディアミックス&ソフトノミックス


電子テキストなくしては
マルチメディアは
成立しえない。


「トランスクライバー(Transcriber):トランスクプリション(録音再生原稿)を制作する人・職業名」。これは『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の「2行話題学/ディクテの仕事場用語集」からの引用である。この頁の執筆者こそ、佐藤正明社長その人である。独自の理論を構築し、新しい専門職を社会に認知させた佐藤社長は、いま、オンライン・ネットワークによるワーキング・グループを率いて、来たるべき本格的なマルチメディア時代に向けた「戦い」に燃えている。

古い産業を新しい概念で規定し直す

――メディアミックス&ソフトノミックスという社名の由来からお聞かせください。
佐藤社長 よく、長すぎると言われるんですが、これには会社の構想そのものが込められているわけです。ご承知のとおり、ソフトノミックスというのはソフト化経済という意味で、文明史の新しい方向を示す言葉です。21世紀は、様々な情報通信システムの登場によって、メディアミックスの時代になる。メディアミックスによって高度情報化社会が実現し、経済のソフト化が一段と進展する。こういう展望のもと、ソフトノミックスの時代に、メディアミックスの手法をもって出発しようと決めて、会社を設立したのです。メディアミックスの手法の根幹は、1つの商売のタネを、いろいろなメディアで骨までしゃぶるということです。
――トランスクプリション(録音再生原稿)に着目された理由は?
佐藤 私は、もともと映像畑出身で、ビデオ作品の企画などを手がけてきたのですが、そのころから思っていたことは、マルチメディアの基礎はテキストであるということです。そのテキストとは、文字を書くということではなく、ワープロやコンピュータを通じた電子テキストのことです。電子テキストなくしてあらゆるメディアは成立しないというのが、私の考えです。その電子テキストの創造、工作を事業化しようと思い立ったわけです。
――トランスクプリションは従来のテープ起こしや速記とはちがうのですか。
佐藤 ある1つの古い産業があったとしますね。その古い産業を、新しい概念で規定し直すことによって、新しい世界、新しい時代のビジネスチャンスが広がるわけです。既存のテープ起こし、あるいは速記という言葉に対して、メディアの「トランスフォーメーション」(変換)という言葉をつけ加え、その1つとしてのトランスクプリションという新しい解釈をすることによって、世界が一変する。産業コンセプトが革新されるのです。

独力でディクテーション学の理論を構築

――そういう理論というのは、アメリカでは確立されているのですか。
佐藤 いや、確立されたものがあるというわけではありません。ただ、NASAにいた方がディクテーション(口述筆記)について書いた本があります。もちろん、翻訳も出ているのですが、使いものにならない。そこで、巻末の索引を全部私一人で訳しました。索引を訳してから、全部内容を私が与えた。自分なりの意味を与えていった。つまり、ディクテーションならディクテーションという英語の言葉はもらいましたが、ディクテーションする際の様々な手法や理論は私が開発して、ディクテーション学を独自に組み立てていったのです。
――理論に裏打ちされた活動をしている同業他社はあるんですか。
佐藤 ないです。しいて言えば速記くらいでしょうか。だいたい、既存の業界へのイメージは、アメリカでも日本でも似たようなもので、一言でいえば、いいかげんなものしか仕上げないというものです。たとえば、速記技術を覚えたからといって、ディクテート(口述筆記させる)の内容を理解できるものではありません。やっぱり内実をともなった技術でないといけない。そもそも、私は速記からは、何も学んでいません。速記という仕事が存在すること自体おかしいとすら思っています。子供が話している言葉を聞き分けたり、聞き取ることはできるけれども、普通の大人が普通の速度で話す言葉を一字一句間違いなく聞き取るというのは不可能でしょう。やはり録音し、それを何度も繰り返し聞いて、確認しながら原稿にしていくのが本来の姿でしょう。官報なんか見てますと、相変わらず、国会の「速記者」募集になっている。アメリカのように、「トランスクライバー」でいいじゃないかと言いたいですね。
――業界のイメージを打破したかった?
佐藤 もちろんです。それに、私には、業界に対する激しい怒りがある。それは、ガーブルド・トランスクプリションとって、勝手に改作したり、直したりするトランスクプリションがあるからです。「です・ます」体にするとか、「である」体にするとか、ライターや編集者が直すのでなくて、トランスクライバーが勝手に直している原稿がある。それはおかしい。当社では、録音テープとトランスクプリションとは同一物です。同一物であることを、サブジェクト・アイデンティファイイングというんですが、同一物であるというところで、ハンコを押して納品するのが、私たちの仕事ですよ。自分の職域を超えた仕事をするということに対して、私は怒りを持っている。
――聞き逃しそうな言葉をきちんと拾ってあるのが再生原稿の意味でしょうね。
佐藤 トランスクライバーの耳というのは、普通の人の耳の6倍から7倍は感度がいい。聞き取る力、聞き分ける力と訓練された耳を持っていますよ。

様々なる神々の組織

――現在、スタッフは何名ですか。
佐藤 59名です。一人男性で、あとは全員女性。その8割が主婦で、自宅で仕事をしています。全員ワープロ(オアシス)を使っており、それがいわゆる一般のパソコン通信ではなく、P−P(ポイント・ツー・ポイント)通信で結ばれているわけです。
――現在、アメリカの労働人口の3分の1に当たる4,100万人が自分の家を事務所にして仕事をしはじめており、バーチャル・オフィスという言葉もあるそうです。マルチメディア時代におけるそういう動きを、日本で先取りしたものですね。
佐藤 マルチメディア時代の組織のあり方を考えてみますと、冒頭申し上げたように、21世紀は知識産業の社会、ソフトノミックスの社会である。知識を最大限に生かし、それを工作していくためには、既存の三角形の組織であってはならない。集団というのはある程度管理が必要なんですけれども、その管理のあり方として、私たちは曼陀羅をイメージしているわけです。知的な産業に携わる一人ひとりのスタッフ、トランスクライバーならトランスクライバー、ライターならライターは、それぞれ一人ひとりが独立した神様である。だが、その組織の内部はいわば自然動物園で、弱肉強食ということもある。勉強しない者は置いていかれる。勉強した者のみが時代についていける。そういう弾力性、柔軟性のある組織でないともちません。常に内部では仕事を通して競争し、外部に対しては戦えるような組織でないといけません。一言でいうならば、「様々なる神々の組織」という感じでしょう。
――59名の方々との人間的な接触は、どうやって保っておられますか。
佐藤 それは、電話です。一言の電話が必要です。「ご苦労さん」「ありがとう」「昨日どうだった? 眠れた?」「大変だったね」。こういう、電話を通じた一言が、やっぱりスタッフとの結びつきを強くしますね。在宅就業では、電話がいのちです。だから、言葉を大事にしてますよ。
――現在、社長ご自身の仕事はどんな内容になっていますか。
佐藤 営業が主ですが、5役をこなしています。社長、経営計画をつくる部長、スタッフの面倒をみる課長、営業マン、さらに走る回る「坊や」の役もやってます。全部一人です。
――トランスクプリションを核に、今後どんな方向にビジネスを展開されますか。
佐藤 今年8月で、設立以来7年目に入ります。まだまだ足元を固めなければなりませんが、方向としては、まず1つには、ディクテーション学というものを今後も究めていく。もう1つは、ディクテーション学を構築する背景となる、トランスクライバーの技術の向上を含む教育というものを、今後いっそう重視していきたい。そしてクライアントから一層信頼される仕事をしていきたいと思います。
 また、大宮に東京トランスクライバー・サービスセンターを出し、東京地区の輪を大きくして、京都、大阪へ進出の足がかりにしたいと思っています。

*三菱総合研究所『TOP MANAGEMENT SERVICE』Vol.23 No.13
 1994年6月23日号所収

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